ドル円のスワップポイント運用は可能?おすすめFX口座6社と今後の推移

ドル円のスワップ運用は可能?おすすめFX口座と今後の推移を解説

※本記事は、提携する企業のPR情報が含まれます。 掲載するサービス及び掲載位置に広告収益が影響を与える可能性はありますが、サービスの評価や内容等は当サイトが独自に記載しています。

「ドル円でスワップポイント運用するのアリ?」
「利益はどのくらい見込めるの?」

2023年3月現在、インフレ抑制のために米国が相次いで利上げを行っており、米ドルは高金利通貨ともいえる通貨となりました。

ドル円のスワップポイントが高いFX会社で運用を行った場合、得られる利益の試算は以下になります。

FX会社名 買い
スワップ
1年間の
利益*1
会社の特徴 詳細
183円 66,795円 1,000通貨から取引でき
総合的にサービス内容が充実
公式サイト
181円 66,065円 FX口座数78万以上(2023年3月時点)の業界大手 公式サイト
180円 65,700円 業界最小の「1通貨」
から取引が可能。
公式サイト
* スワップポイントは2023年3月8日の付与日数1日分を参照。
*1 1万通貨を1年間保有した場合の受け取り金額を計算。
*1 米ドル/円の為替レート変動を考慮していないため、留意が必要。
*2 ファイナンス・マグネイト社調べ2020年1月~2021年12月

この記事では、ドル円でスワップ運用を行うと、どの程度の利益が見込めるのかデメリットや注意点はどこかなどを解説します。

また、スワップポイント以外の項目でもFX口座を比較したい人は、FXおすすめ口座の比較ランキング!独自アンケートでFX口座を徹底解説も参考にしてみてください。

目次

ドル円のスワップポイント比較・一覧

ドル円のスワップポイント比較・一覧

米ドル/円(ドル円=USD/JPY)は、日本のFX投資家にとって最もポピュラーな通貨ペアであり、米ドル/円を取り扱っていないFX会社は皆無です。

2022年から2023年3月現在まで、インフレ抑制のために米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は相次いで利上げを行っており、今や米ドルは高金利通貨ともいえる通貨となりました

高金利通貨はFXのスワップポイントが魅力ですが、2023年3月時点で主要なFX会社の米ドル/円のスワップポイントがどうなっているのか、調査した結果は以下のとおりです。

FX会社名 買い
スワップ
売り
スワップ
会社の特徴 詳細
+183円 -203円 1,000通貨から取引でき
総合的にサービス内容が充実
公式サイト
+181円 -184円 FX口座数78万以上(2023年3月時点)の業界大手 公式サイト
+180円 -187円 業界最小の「1通貨」から取引が可能。 公式サイト
+175円 -175円 スワップポイントが高く
取引ツールが使いやすい。
公式サイト
+175円 -175円 高金利通貨ペアの
スワップポイントが高水準
公式サイト
+170円 -195円 FX専業の会社としては最大手で
情報コンテンツが充実
公式サイト
* スワップポイントは2023年3月8日の付与日数1日分を参照
* スワップポイントは1万通貨取引の1日あたり
* スプレッドは原則固定(例外あり)

なお、スワップポイントは日々変動するため、最新情報は各FX会社の公式サイトで確認すると良いでしょう。

ドル円でスワップポイント運用を1年間した場合、いくら受け取れる?

続いて、実際に1年運用した時にいくらスワップポイントを受け取ることが出来るのか、各社の提供実績をベース(2023年3月時点)に算出しました。

ドル円でスワップポイント運用を1年した場合の利益の試算表

ドル円のスワップ運用では「1年間でいくらの利益が得られるのか」を把握しましょう。

FX会社
1年間の利益*
詳細
GMO外貨のロゴ
66,795円
GMOクリック証券のロゴ
66,065円
SBI FXトレードロゴ
65,700円
みんなのFXのロゴ
63,875円
LIGHTFX
63,875円
外為どっとコムのロゴ
62,050円

* スワップポイントは2023年3月8日の付与日数1日分を参照。
* 1万通貨を1年間保有した場合の受け取り金額を計算。
* 米ドル/円の為替レート変動を考慮していないため、留意が必要。

ドル円でスワップポイント運用した場合の利回り!得られる利益はいくら?

ドル円でスワップポイント運用した場合の利回り! 得られる利益はいくら?

米ドル/円がスワップ運用に利用できるスペックであることをお分かりいただいた上で、ここでは米ドル/円を実際にスワップ運用してみたらどうなるのかをシミュレーションしてみましょう。

数量は1Lot(1万通貨)で、運用期間は1年。スワップポイントは、「みんなのFX」が2023年3月14日時点に提供していた「+190円」が継続することを前提にします。「みんなのFX」にはスワップシミュレーションの機能があるので、このツールを利用して試算してみましょう。結果は、以下のとおりとなりました。

ドル円で1年間スワップポイント運用をしてみたグラフ 参照:みんなのFX スワップシミュレーション

1年後には6万9,350円のスワップポイントが貯まり、さらに5年後には34万円、10年後には69万円と成長していきます。

ここでは10万円を運用することを条件にしているので、10万円に対して1年で6万9,350円のスワップポイントが貯まることから、利回りとして算出するならば69.3%という驚くべき数値になります。

ただし、これらはいずれも日米の金利が現在のまま変わらずスワップポイントが同じであること、そして米ドル/円の為替レート変動を考慮していない(為替レートの変動による損失を考えない)場合であることを留意しておいてください。

あくまでも参考までに考えておくことが大切です。

ドル円のスワップポイントが高いおすすめFX会社6選

ドル円のスワップポイントが高いおすすめFX会社

受取スワップを軸に、その他の機能やサービスなどを考慮して、ドル円を有利に運用できそうなFX口座を6社厳選してみました。

GMO外貨

GMO外貨のバナー画像

大手ITおよび金融グループであるGMOインターネットグループのFX取引サービス。

最大レバレッジを利用者が選択できることや、即時入金だけでなく「即時出金」にも対応している(300万円以下、かつ8時50分~14時30分に依頼した場合)ことなどが特徴です。また1,000通貨単位から取引ができるので、初心者や少額から始めたい方にもおすすめ。

米ドル/円のスワップポイントについても他社と比較してそん色はなく、スワップポイント狙いでFX投資をするのにも適している口座です。

【米ドル/円スワップ実績】

日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
8/22
1
+90円 -110円
8/23
1
+93円 -113円
8/24
3
+282円 -342円
8/25
1
+93円 -113円
8/26
1
+88円 -108円

GMOクリック証券

上記の「GMO外貨」と同じくGMOインターネットグループの証券会社です。

「GMO外貨」との違いは総合証券会社であることで、FX以外にも現物株や投資信託、先物・オプション、CFD、バイナリーオプションなど多彩な投資サービスを提供しています。FX以外にも色々な投資に興味がある方にとっては1つの口座でそれらを利用可能なので便利。

またアプリの評価も高く、トレーダー3,000人にアンケート調査を行ったところ、GMOクリック証券が1位といった結果になりました。

調査結果PDF:FXトレーダー3,000人調査結果

スワップポイントは「高い」とはいえないかもしれませんが、標準的な水準といっていいでしょう。

【米ドル/円スワップ実績】

日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
8/22
1
+87円 -90円
8/23
1
+89円 -92円
8/24
3
+264円 -273円
8/25
1
+82円 -85円
8/26
1
+84円 -87円

SBI FXトレード

sbifx anken

他社が1,000通貨や1万通貨を最低取引単位としているのに対し「SBI FXトレード」は1通貨単位から取引できるところがユニークです。取扱通貨ペアの種類が多く、他社にはないような通貨ペアをトレードしたい方にもおすすめです。

また「積み立てFX」というサービスを提供しており、このサービスを利用するとスワップポイント狙いで外貨の積み立てができますが、そこで貯めたスワップポイントも再投資できるメリットもあります。長期目線でスワップポイント狙いの投資をしたい方には利用価値の高いサービスといえるでしょう。

米ドル/円のスワップポイントは他社と比較して標準的な水準です。

【米ドル/円スワップ実績】

※10,000通貨あたり実績値
日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
2024/04/02
1
+240円 -248円
2024/04/03
1
+243円 -251円
2024/04/04
3
+738円 -762円
2024/04/05
1
+244円 -252円
2024/04/06
1
+241円 -249円

みんなのFX

「みんなのFX」は、トレイダーズ証券が提供しているFX取引サービスです。口座保有者であれば世界的に支持されているチャートツール「TradingView」の有料版を利用できるため、「TradingView」をフル活用したい方には利用価値の高い口座です。

多くのFX会社では同じ通貨ペアのスワップポイントにおいて受け取りと支払いの額に若干の差があるためスワップポイントが支払いになるポジションを保有すると不利になることが多いのですが、「みんなのFX」は受け取りと支払いのスワップポイントが同額になっていることが多く、良心的だといえます。

米ドル/円のスワップポイントは他社と比較して若干低めの日がありますが、これはスワップポイントの支払額を低く抑えるためである可能性があり、致し方ないのかもしれません。

【米ドル/円スワップ実績】

日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
8/22
1
+85円 -85円
8/23
1
+85円 -85円
8/24
3
+255円 -255円
8/25
1
+82円 -82円
8/26
1
+82円 -82円

LIGHT FX

「LIGHT FX」は、上記の「みんなのFX」と同じトレイダーズ証券が提供しているFX取引サービスです。同じ証券会社だけに基本的なスペックは「みんなのFX」と似ているのですが、一部の高金利通貨などでスワップポイントが高いなどの特徴があります。

米ドル/円のスワップポイントについては「みんなのFX」と同じなので、米ドル/円のスワップポイント狙いで投資をしたい方はどちらの口座を選択しても同じ効果が得られます。

【米ドル/円スワップ実績】

日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
8/22
1
+87円 -90円
8/23
1
+89円 -92円
8/24
3
+264円 -273円
8/25
1
+82円 -85円
8/26
1
+84円 -87円

外為どっとコム

FX専業会社として早い時期からFX取引サービスを提供している「老舗」です。

FX初心者や中上級者向けに読み応えのある情報コンテンツを提供していることや外国為替を研究するシンクタンクを設置していることなど、FX業界全体の発展に貢献しようとしている点が特徴的です。

FX会社同士でスプレッドを狭くする競争が激しくなっていますが、「外為どっとコム」もその競争において最前線にいるため、常に業界最狭水準のスプレッドを提示しています。

米ドル/円のスワップポイントについて、受け取り額が他社と比較して低めである一方で支払いのスワップポイントが高めなので、米ドル/円の売りポジションを保有する場合は注意が必要です。

【米ドル/円スワップ実績】

日付
付与日数
買(受け取りスワップ)
売(支払いスワップ)
8/22
1
+84円 -109円
8/23
1
+85円 -110円
8/24
3
+255円 -330円
8/25
1
+82円 -107円
8/26
1
+84円 -109円

ドル円のスワップポイントは他の通貨ペアと比較するとどうなの?

ドル円のスワップポイントは他の通貨ペアと比較するとどうなのか

ここまでの解説で、米ドル/円のスワップポイントがおおむねどれくらいなのかをイメージしていただけたと思います。FX会社によって多少の差はあるものの決定的な違いはありません。

それでは次に、米ドル/円のスワップポイントが他の通貨ペアと比較してどうなのかについて解説します。

主要な通貨ペアに加えて、新興国の高金利通貨とも比較してみましょう。

ユーロ円、ポンド円、豪ドル円など主要通貨ペアと比較

米ドルと並ぶ世界の主要通貨であるユーロは、EUが長らく低金利政策をとっているため、ユーロ/円のスワップポイントもかなり低くなっています。

この記事で紹介しているFX会社のユーロ/円スワップポイントは、買いポジションに対して受取額が10~15円程度です。

EUが日本と同じく低金利政策を続けているうちは、同水準が続くでしょう。しかしながらEUでもインフレが進行しており、長らく利上げをしてこなかったECB(欧州中央銀行)は2022年に利上げに踏み切りました。この流れが続くと米ドル/円に近いスワップポイント水準になるかもしれません。

同じ欧州通貨でありながらポンドはユーロよりも金利が高く、ポンド/円の買いポジションに対する受け取りスワップポイントは70~80円程度です。米ドル/円に近い水準なので、ポンド/円は準・高金利通貨ペアといえます。

豪ドルについては、以前ほどではないものの日本円と比べると高金利であるため、豪ドル/円の買いポジションには45~65円程度のスワップポイントが付いています。ちなみにNZドル/円のスワップポイントはFX会社によってまちまちで、豪ドル/円と同水準のFX会社がある一方で豪ドル/円よりも高いFX会社、逆に低いFX会社があります。

トルコリラ円、メキシコペソ円、南アフリカランド円など高金利通貨ペアと比較

次に、多くのFX会社が取り扱っている高金利通貨とも比較してみましょう。

2023年3月現在、高金利通貨に分類されている通貨の多くは新興国通貨で、トルコリラ/円メキシコペソ/円南アフリカランド/円などが有名です。いずれも新興国で通貨レートが低いため、きわめて少額から始めることができます。少額で買いポジションを保有すると高いスワップポイントがつくとして、スワップ派の投資家からも人気を集めています。

高金利通貨の代表格として有名なトルコリラ/円の買いポジションに対するスワップポイントは、おおむね15~25円程度です。米ドル/円と比べるとずいぶんスワップポイントが少ないように感じるかもしれませんが、トルコリラ/円は2023年3月時点のレートが7円台なので、レートの低さを考慮すると依然として高金利です。

米国の隣国であるメキシコの通貨、ペソとの通貨ペアであるメキシコペソ/円のスワップポイントは、15円前後です。こちらもトルコリラと同様にレートが低く、2023年3月時点ではメキシコペソ/円が7円前後なので、高金利通貨としてのスペックは維持されています。

3つ目の南アフリカランド/円は、買いポジションに対して10~15円程度のスワップポイントが付きます。南アフリカランドもトルコリラやメキシコペソと同水準のレートで、2023年3月時点の南アフリカランド/円は7円台です。このことを考慮すると高金利であるといえるので、上記2つの通貨と併せてこれらの3通貨は米ドル円と比較して依然として高金利です。

ドル円でスワップポイント運用をするメリット

ドル円でスワップポイント運用するメリット

スワップポイントを狙って金利の高い通貨ペアを保有し続けるのは、多くの投資家が実践している手法のひとつです。

しかし高金利通貨といえば当記事でも紹介しているようにトルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドなどがあります。これらの通貨はいずれもレートが安いため少額から始められますし、米ドル/円よりも高い利回りが期待できます。

このことを踏まえた上で米ドル/円を選ぶことには、以下のようなメリットがあります。それぞれ個別に解説しましょう。

  1. 米ドル/円の取り扱いがないFX会社はない
  2. 日本人にもっとも馴染みのある通貨ペアのため情報を入手しやすい

米ドル/円の取り扱いがないFX会社はない

新興国の高金利通貨はFX会社によって取り扱いの有無が分かれますが、米ドル/円を取り扱っていない会社は皆無です。どのFX会社であってもレート表示などで米ドル/円は一番目に表示されています。

それだけ存在感の大きな通貨ペアであることからFX会社同士で米ドル/円のスワップポイントを競い合っている部分もあるため、折からの利上げもあって高いスワップポイントが期待できます。

なお、世界の外国為替市場で取引されている通貨ペアのうち、米ドル/円はユーロ/ドルに次いで第2位です。流動性が高いことから「謎の値動き」が起きにくく、安定的な環境でポジションを保有しやすいことも米ドル/円のメリットです。

日本人にもっとも馴染みのある通貨ペアのため情報を入手しやすい

米ドル/円は私たち日本人にとって、最もなじみの深い通貨ペアです。

FX投資家でなくても日々の経済ニュースで円相場を見聞きしますが、そこで報道されているのは米ドル/円のレートです。少し詳しく報道する経済ニュースではユーロ/円のレートを紹介することもありますが、その場合であっても米ドル/円には必ず言及しています。

現在の米国の大統領が誰なのか、国の状態はどうなっているのかといった情報にも私たち日本人は日常的に触れていますが、高金利国であるトルコやメキシコ、南アフリカなどのことをあまり知らない方は多いのではないでしょうか。

あまり知らない国に投資をするのは、リスクを伴います。それに対して日本人にとってなじみの深い国の通貨である米ドル/円は、情報の入手のしやすさにおいても優位性があります。

ドル円でスワップポイント運用をするデメリット

ドル円でスワップポイント運用するデメリット

米ドル/円でスワップ運用をするメリットを解説した次には、デメリットについても解説しておきましょう。もちろんメリットばかりではないので、ここで解説するデメリットについても十分理解した上で投資判断をしてください。

  1. 高金利通貨のように安く買えるわけではない
  2. クラッシュ相場の震源地になることがある

高金利通貨のように安く買えるわけではない

すでに解説しているように、米ドル/円とトルコリラなどの高金利通貨とはレートが大きく異なります。

2023年3月時点で米ドル/円は130円台ですが、3つの高金利通貨はいずれも10円未満です。10倍を優に超えるレート差があるため、米ドル/円は決して安くはありません。このことは後述しますが、2022年から2023年にかけては、ドル高が進行しており米ドル/円も歴史的な高値圏で推移しています。

一方の高金利通貨はいずれもレートが低いので、少額での投資が可能です。米ドル/円はレートの高さゆえに証拠金も高くなりますが、高金利通貨はいずれもレートが安いので証拠金は少なくて済みます。

同じ資金を運用する場合、証拠金の占める比率がまるで異なるため、米ドル/円で運用するとレバレッジが高くなりますが、高金利通貨であれば証拠金が少なく済むため資金的な余裕も大きくなり、レバレッジを低く抑えることができます。

それでは、米ドル/円と高金利通貨の一角であるメキシコペソ/円で同じ10万円を運用するという条件でシミュレーションをしてみましょう。ここでも「みんなのFX」のスワップシミュレーションを使用します。

最初に、米ドル円です。

ドル円スワップ運用のデメリット

運用開始直後はレバレッジが13.6倍となり、135.335円になった時点でロスカットになってしまうことが分かります。5円程度の逆行でロスカットになるため、この状態で年単位の運用をするのはリスクが高いといえます。

次に、メキシコペソ/円で同じ10万円をスワップ運用する場合もシミュレーションしてみましょう。

メキシコペソスワップ運用のデメリット

運用開始当初から実行レバレッジは0.7倍なので、ロスカットのリスクは極めて低いといえます。

このように同じ資金で運用する場合にはレートの差がレバレッジの差、つまりロスカットになるリスクの差にも直結します。低リスクの運用を米ドル/円でやるためには、資金も多く必要になります。

クラッシュ相場の震源地になることがある

米ドル/円は取引量が第2位のメジャーな通貨ペアです。それだけに世界の投資家からの注目度も高いのですが、このことがリスク要因になる場合もあります。

外国為替市場には時折「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる急激な値動きが発生することがあります。これは巨額の資金を動かしている投機筋が短時間に莫大な注文を浴びせることによって相場を動かし、他の投資家の損切りやロスカットを狙う戦術です。

2019年1月3日に起きたフラッシュクラッシュはとても有名で、日本がまだ正月休みで板が薄い(取引量が少ない)タイミングを狙って米ドル/円に莫大な売り注文が入り、当時108円台だった米ドル/円が103円台にまで急落したことがありました。

この時に買いポジションを保有していた投資家の中には正月休みを終えた時にロスカットされたことを知った、という人もいました。

2020年3月9日にもコロナ禍による経済へのダメージを懸念した売り注文をきっかけにフラッシュクラッシュが発生し、104円台だった米ドル/円はわずかな時間のうちに101円台まで下げました。

いずれも米ドル/円が震源地となっており、長期的にポジションを保有する場合には投機的な仕掛けの標的になりやすいことを知っておくべきでしょう。

ドル円でスワップポイント運用をする際の注意点

ドル円でスワップポイント運用する際の注意点

米ドル/円に限らず、FXでスワップ運用をするためには同じポジションを長期的に保有し続ける必要があります。

長期のポジション保有がリスクにつながることもあるため、それも含めて米ドル/円でのスワップ運用を検討するなら知っておくべき注意点について解説します。

ドル円は高値圏にあるため、今後も長期的に継続するかどうかは未知数

連日のように報道されていることもあってご存じの方も多いと思いますが、2022年9月現在、米ドル/円は歴史的な高値圏にあります。以下は、米ドル/円の長期チャートです。2005年からの週足を見ても、米ドルが現在の水準まで上昇したことはありません。

2022年9月の米ドル円

米ドル/円が140円台を付けるのは24年ぶりのことであり、20年以上なかった水準です。それだけ珍しい高値の状態が、今後も長期的に継続するかどうかは未知数です。

逆にこの24年間によく見られた100円台、110円台などの水準に戻ると140円台で買ったポジションは20円以上の含み損を抱えることになります。

つまり長期的にポジションを保有してスワップを貯め続けるためには、最大で数十円規模の逆行が起きてもロスカットにならないだけの資金を入れておく必要があります。

今後の金利差の推移によっては得られるスワップが減ってしまう可能性もある

スワップポイントは、通貨ペアを構成している2つの通貨の金利差を調整するために受け渡されるものです。金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買えばスワップポイント受け取りになり、逆だとスワップポイントを支払うことになります。

米ドル/円は超低金利の日本円と金利が上昇している米ドルとの通貨ペアなので、日本円を売って米ドルを買うポジションを保有すればスワップポイントを受け取ることができます。そしてこの金利差が広がっていくほど、スワップポイントは大きくなります。

2022年は米国が相次いで利上げをしているため米ドル/円のスワップポイントも高くなる傾向にありますが、逆に米国が利下げをしたり日本が利上げをすると金利差は縮小し、受け取れるスワップポイントも少なくなります。もし日本と米国の金利差が逆転したら、今度は買いポジションのスワップポイントがマイナスになることも考えられます。

スワップポイントは常に一定ではなく、通貨ペアを構成する双方の国の金利によって変動することを理解しておきましょう。

ドル円のスワップポイントの今後の推移とは?

ドル円の今後の推移

米ドル/円の買いポジションを長期保有してスワップ運用をしたいと考えている人にとって、米国の金利が今後どうなるのか気になるところでしょう。

2022年はインフレが進行しているため金融引き締め(つまり金利引き上げ)の傾向が強いですが、インフレ抑制に成功した時点で金利引き上げは止まる可能性が高く、こうした米国の金融政策は米ドル/円のスワップポイントにも影響を及ぼします

これまでの米国の政策金利は、どう推移してきたのでしょうか。日本経済新聞の記事より引用しました。

米国の政策金利の推移

「FF金利」というのは、フェデラルファンドといって米国の政策金利のことです。2022年は米国が金利を相次いで引き上げていますが、かつてはそれよりも高い時期があったことが分かります。

その逆に金利がゼロに近かった時期もあるので、このFF金利の上下変動によって米ドル/円のスワップポイントも変動してきました。

そもそもスワップポイントとは?基礎知識をあらためて復習

スワップポイントとは

スワップポイントとは、通貨ペアを構成する2つの通貨間に金利の差があればそれを調整するためのものです。金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買えば、スワップポイント受け取り、逆であればスワップポイント支払いになります。

FX取引では、投資家は金利の異なる2つの通貨を売買しています。そのため、買って保有する通貨の金利を受け取る権利がある一方、売った通貨の金利を支払う必要があります。

例えば、投資家が米ドル/円の通貨ペアで買いの建玉を保有する(米ドルを買って円を売る)場合、米ドル金利を受け取る一方、円金利を支払うことになります。

一般的には、この金利差に相当する金額のことをスワップポイントと呼んでいます。

引用元:一般社団法人金融先物取引業協会「スワップポイントについて」

トルコリラやメキシコペソなどの高金利通貨の買いポジションを保有するとスワップポイントを受け取れるのは、日本に対してこれらの国の金利が高いからです。

スワップポイントは外国為替市場の「1日」ごとに支払われます。日本時間早朝のオセアニア時間から始まり、日本時間、欧州時間、米国時間を経てニューヨーク市場が終了する時点をもって外国為替市場の1日が終了します。

スワップポイントはこのニューヨーク市場が終了して「翌日」になる時点で発生するため、スワップポイントをもらうためには日をまたいでポジションを保有する必要があります。

また、当記事の冒頭ではFX会社ごとに5日間のスワップポイント推移を紹介しました。そこには「付与日数」という項目があることに気付いた人もいると思いますが、これは土日分の調整です。

スワップポイントは週末の土曜日、日曜日にも発生しますが、市場は休んでいるため売買はできません。そこで平日に週末2日分のスワップポイントを付与するため、多くのFX会社では水曜日に3日分のスワップポイントを付与しています。

ドル円のスワップポイントに関するQ&A

ドル円のスワップポイントが高いFX会社はどこですか?

2023年3月の実績でいえば、GMO外貨、みんなのFX、LIGHT FXなどが比較的高めのスワップポイントを付与していました。

ただスワップポイントは日々微妙に違いますし、これがずっと続くという保証はありません。運用を始める際には、常に最新の情報をチェックしておくことが必要です。

ドル円でスワップポイント狙いの運用はアリですか?

運用にあたって注意点はありますが、2023年1月現在の受け取りスワップに注目すれば、魅力的な数値だとはいえるでしょう。

ドル円でスワップポイント狙いの運用をする際の注意点は?

2023年3月現在、ドル円相場はかなり高値圏であることは承知しておいた方がいいでしょう。もちろん、今後もこの流れが継続する可能性もありますが、数年単位の長期的視野で観たときにも同じかどうかはわかりません。

いずれにせよ大きな下落があったときでも耐えられる(強制ロスカットにならない)資金で運用することが大切です。

この記事のまとめ

  • 2023年3月現在において、ドル円の買いポジションには魅力的なスワップポイントがつく
  • GMO外貨やみんなのFX、LIGHT FXなどが魅力的なスワップポイントを提供している
  • 運用を始めるなら、強制ロスカットの心配がない豊富な資金が必要

エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、現在は自動売買を中心に運用中。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力し、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

鹿内武蔵

FX雑誌『外国為替』編集長・株式会社tcl代表取締役

鹿内武蔵

2022年創刊のFX雑誌『外国為替』編集長。

FX編集者歴は長く、2008年より『FX攻略.com』元副編集長として、取材・編集・執筆に携わる。多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に、FX、投資ライターとして活動中。

株式会社tcl代表として各種メディアで執筆しているほか、自身もトレーダーとしてFXの運用も行っている。好きなテクニカル分析はボリンジャーバンド。

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記事の編集責任者

齋藤直人

FINANCIAL JOURNAL編集長

齋藤直人

編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。

雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。

FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips

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トルコリラのスワップポイントを10社比較!年間の利回りや運用のポイントを解説

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