投資信託のおすすめ商品・証券会社とは?投資初心者向けの選び方も解説

おすすめの投資信託7選と証券会社3社

投資初心者が「最初の一歩」として選ぶなら、投資信託は最有力ともいえる選択肢です。

ただ、膨大にある商品の中から「どれを選べばいいのか」となると、頭を抱えてしまう人も多いのではないでしょうか。

そこでファイナンスジャーナル編集部は、おすすめの商品と、それを取り扱っている証券会社をピックアップしました。始めようと思っている人はぜひチェックしてみてください。

この記事でピックアップしている
おすすめ投資信託7選
  • eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)
  • iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)
  • インベスコQQQ ETF
  • バンガード米国高配当ETF(VYM)
  • 高成長インド・中型株式ファンド

この記事でわかること

  • 初心者はインデックス型の投資信託がおすすめ
  • 分散性が高い方がリスクは抑えやすい
  • 投資信託はリスクとリターンに関して幅広い選択肢がある

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目次

リスクを抑えつつリターンが期待できるおすすめの投資信託7選

リスクを抑えつつリターンが期待できるおすすめの投資信託7選

可能な限りリスクを抑えつつも、しっかり運用したい。この2つの願望は相反するものですが、数こそ少ないながらもこの2つを両立できる投資信託はあります。

ここではリスクを抑えながらリターンが期待でき、さらに実績もあるおすすめの投資信託を7つ紹介します。

なお、これら7銘柄の多くは主要なネット証券(SBI証券、楽天証券、松井証券)の人気ランキングでも上位にランクインしており、投資家からも高い人気を集めています。

「おすすめの投資信託を知りたい」という方向けにまずは具体的な銘柄を紹介しますが、「そもそも投資信託って?」という基礎から知りたい方は、この記事内で解説している「投資信託の基本をおさらい」からチェックしてみてください。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)

投資信託の中でも人気の高い、eMAXISシリーズ。

この「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、その名の通り世界の主要国の株価動向を指数化した「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」という指数と連動するように運用されています。

日本を含む先進国や新興国の株価動向が反映されることから、この投資信託を1本持っておくだけで全世界の株式に投資をしているのと同様の効果が得られるため、リスク分散性が非常に高いのがポイントです。

国や地域によって浮き沈みはあるものの、世界全体の経済は着実に成長しています。この「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」で全世界への投資をすることで、世界経済の成長力を資産増につなげることができます。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

上記と同じく、人気のeMAXISシリーズの投資信託です。

上記とともに、こちらも主要な証券会社の人気ランキングで上位にランクインする常連銘柄です。米国の主要な50銘柄の株価を指数化したS&P500と連動するように運用されているため、米国の主要な500社に分散投資をしているのと同様の効果が得られます。

運用対象であるS&P500は「世界でもっとも強い指数」と呼ばれるほど、長期的には右肩上がりの推移をしています。実際にS&P500の値動きを見てみましょう、こちらは2014年からの週足チャートです。

S&P500の2014年からの週足チャート

引用元:Tradingview

一時的な下落はあるものの、その下落分を回復した上で上昇基調が続いているのが分かります。

今後も米国経済の成長力が維持されると見込むのであれば、おすすめ銘柄のひとつです。

NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)

日経平均株価と連動する投資信託は数多くありますが、この「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信」はその中でも知名度、人気ともに主要な銘柄といってよいでしょう。

東京証券取引所に上場しているETF(上場投資信託)であり、1口単位で売買できることから少額投資や積立投資に適しています。

積立投資の方法としてドルコスト平均法がおすすめですが、これについては後述します。

iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)

REITとは不動産投資信託のことで、REITの中でも東京証券取引所に上場している銘柄群をJ-REITといいます。

このJ-REIT全体の値動きを指数化したものに東証REIT指数があり、その東証REIT指数と連動するように運用されているのが、「iシェアーズ・コア Jリート ETF」です。こちらもETFとして東京証券取引所に上場されている銘柄です。

J-REITは優良不動産に間接的な投資ができる商品として知られていますが、不動産にはさまざまな種類があります。J-REITの各銘柄も住居型や商業施設型、ホテル型、ヘルスケア型といったように不動産の用途別に分類されています。

特定の分野のJ-REITだと景気や経済情勢の影響を受けやすいため、リスクは高くなります。記憶に新しいところでは2020年に端を発したコロナ禍では旅行業界が大ダメージを受け、ホテル型のJ-REITも価格が低迷しました。

この「iシェアーズ・コア Jリート ETF」は東証REIT指数と連動しているため、すべての分類を含むJ-REIT全体への投資効果があります。目先のリスクに左右されることなく、安定的に3%~5%程度の分配金が得られています。

なお、東証REIT指数連動型の投資信託、ETFは他にもあります。しかしながらこの「iシェアーズ・コア Jリート ETF」は信託報酬が安い上に1口単位で売買できる唯一の銘柄なので、おすすめです。

インベスコQQQ ETF

「インベスコQQQ ETF」(通称、QQQ)は、米国のETFです。

GAFAM(Google・Amazon・Facebook(現Meta)・Apple・Microsoft)をはじめとするハイテク株が多く上場している米国ナスダック市場の中で主要100銘柄の株価を指数化した、ナスダック100指数と連動するように運用されています。

GAFAMだけでなく、ナスダック100指数には、イーロン・マスク氏率いるEV大手のテスラ、日本でもおなじみのコストコ、ネットフリックスなども組み込まれています。その他にも錚々たる企業が名を連ねていますが、QQQはこれ1本だけでそれらを含むナスダック100指数に投資ができるETFです

米国のETFですが、ネット証券など日本の証券会社からでも簡単に売買が可能です。

バンガード米国高配当ETF(VYM)

VYMの名称で有名な「バンガード米国高配当ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)」も、上記のQQQと同じく米国のETFです。

高配当株式が数百社組み込まれた「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス」と連動するように運用されており、分配金利回りの高さが魅力です。その一方で経費率(信託報酬)は0.06%ときわめて低いのもポイント。

高配当ETFでありながら成長性の高い銘柄が多く組み込まれているため、VYM自体の価格の成長も期待できます。2023年11月時点で453銘柄が組み込まれているため分散性も高く、リスクを抑えながら長期目線で持っておきたい方におすすめのETFです。

高成長インド・中型株式ファンド

「経済成長著しい新興国の株式に投資をしたら、今後大きな値上がりが期待できるのではないか?」と考える人は多いのではないでしょうか。

ここで紹介する「高成長インド・中型株式ファンド」は、そんな思いを投資に反映できる投資信託です。BRICsと呼ばれる新興国の中でも成長期待の高いインドの株式、その中でも成長余地の大きい中型株で構成されています。

インドの成長力に期待する人は多く、純資産額は急増しており、分配金を再投資した場合の実質的な価値は5倍にも成長しています。

高成長インド・中型株式ファンド

引用元:高成長インド・中型株式ファンド(三井住友DSアセットマネジメント)

投資信託の選び方5つのポイント

投資信託の選び方5つのポイント

日本国内だけでも投資信託は数千種類もの銘柄があります。その中から投資すべき銘柄を選ぶのは至難の業です。

当記事ではできるだけリスクを抑えつつ本格的な運用ができるおすすめの7銘柄を厳選しましたが、もちろんおすすめ銘柄はこれだけではありませんし、人によって選び方の価値観は異なります。

そこでこれから投資信託を選ぶ方に向けて、投資信託選びの基本について解説します。

①運用方針で選ぶ

投資信託を運用方針で大きく分類すると、インデックス型とアクティブ型があります。

インデックス型 株価指数など市場の平均値と連動するように運用されています。
アクティブ型 市場の平均値を上回るリターンを目指して運用されています。

初心者や無難な運用を希望する人には、インデックス型がおすすめです。指数と連動するように機械的な運用をするだけなのでコストが安いですし、長期的にはしっかり資産を増やせているという実績もあります。

冒頭で紹介したおすすめの投資信託も、ほとんどがインデックス型です。証券会社の人気ランキングを見ても上位はほとんどがインデックス型なので、多くの投資家がインデックス型を選んでいることが分かります。

②国内か海外かで選ぶ

国内か海外かで投資信託を選ぶ

投資信託は運用先の国によっても分類ができます。国内型は運用対象が日本の株や不動産などで、その他には運用先が米国のもの、先進国全体のもの、逆に新興国のものなど、実にさまざまです。

分散性が高い(運用対象が幅広い)ほうがリスクを抑えやすいので、リスクの低さで選ぶのであれば全世界型や先進国型など、運用先が複数の国にまたがっている投資信託がおすすめです。

当記事でも1番目に全世界型の投資信託を紹介したのは、これ以上分散性の高い投資信託はないからです。

③先進国か新興国かで選ぶ

先進国か新興国かで投資信託を選ぶ

運用先が複数の国にまたがっている銘柄の中にも、先進国型や新興国型といった分類があります。

先進国はすでに経済や社会システムが成熟しているので投資先としての安全性は高いですが、その一方で今後の成長余地は限られています。逆に新興国は今後の成長余地こそ大きいですが、その一方で未成熟な部分も多いためリスクは高くなります。

安定の先進国か、成長余地の新興国かは個人の考え方次第。もしも新興国を選びたいのであれば、安定感のある成長を続けているインドなどの国は、投資先として組み込んでみても面白いのではないでしょうか。

そのことを踏まえて、冒頭のおすすめ銘柄7選にはインドの中型株を投資先とする投資信託を含めました。

④利益の種類で選ぶ

利益の種類で投資信託を選ぶ

投資信託で利益を上げる方法は、大きく分けてキャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(分配金収入)の2つです。

安定的な収入を希望する場合は分配金の利回りが高いインカム型の投資信託が適しています。

キャピタル型の投資信託は値上がりによる利益を狙うため、売却するまで利益は確定しません。しかしながら長期的な成長に期待するような銘柄であれば、老後に資産を取り崩す時に価格が高くなっているとメリットを享受できます。

⑤購入手数料で選ぶ

購入手数料で投資信託を選ぶ

一度に多くの投資信託を購入するよりも、分割して購入するほうがリスクを分散しやすくなります。しかし、分割して購入するとなると何度も購入手数料が発生することになります。

それだと手数料負けしてしまう可能性があるので、分割や積立による投資をするのであれば購入手数料が安い、もしくは無料の銘柄がおすすめです。

「ノーロード」といって購入手数料が無料の銘柄群がありますし、証券会社によってはETFの購入手数料が無料になることもあります(参考:楽天証券の「手数料0円ETF」)。

こうした仕組みをうまく活用して、投資コストを節約することも重要です。

投資信託の運用におすすめの証券会社

投資信託におすすめの証券会社

投資信託の運用には、証券会社の口座が必要です。郵便局や銀行でも買うことはできますが、銘柄数の豊富さや上場している投資信託であるETFの購入をするとなると実質的に証券口座が必要になります

そこで、投資信託の運用に適したおすすめの証券会社として、ここではネット証券の大手3社を紹介します。この3社をおすすめに選んだ理由は、投資信託の取扱本数や手数料体系などが優れていること、それ以外にも独自の優位性があるからです。

SBI証券

SBI証券公式サイト

ネット証券の雄ともいえる、大手証券会社です。投資信託の取扱い銘柄数は多く、豊富な選択肢から投資をすることができます。

また、SBI証券は米国の株式やETFなどにも力を入れており、米国ETFの一部銘柄では売買手数料が無料になるという画期的なサービスも用意されています。対象銘柄の中にはインデックス型ETFも多く含まれているので、少しでもオトクに投資をしたい方におすすめです。

また、米国ETFを自動的に定期買付してくれる珍しいサービスもあるので、後述するドルコスト平均法をいかした積立投資を自動化することもできます。

楽天証券

楽天証券

オンラインショッピングモール大手の楽天グループに属する証券会社として、楽天証券は「楽天経済圏」と呼ばれる楽天系サービスとポイントを共有できるのが魅力です。

しかも楽天ポイントで投資信託を購入できるため、他の楽天系サービスで貯めたポイントを使って現金を使わずに投資をすることもできます。実質的に貯めたポイントを現金化できることに近いサービスであり、楽天証券の見逃せないメリットのひとつです。

また、手数料体系については上記のSBI証券と常に競い合っていることもあって、ネット証券業界の中でも最安水準に設定されています。

松井証券

松井証券

創業100年を超える老舗証券会社でありながら、ベンチャー系のネット証券に近いサービスを提供している松井証券。

投資信託に関連する特徴として目を引くのが、購入時の手数料が無料であること。積立投資や分割投資など小刻みに投資信託を購入する方にとって有利な手数料体系です。

また、投資信託といっても何を買えばいいのか分からない人に向けて、質問に答えるだけで最適な銘柄をアドバイスしてくれるロボアドバイザーも利用可能です。

投資信託の基本をおさらい

投資信託のことをあまり知らないという人に向けて、投資信託で資産運用をする際に最低限知っておくべき基本をまとめました。

投資初心者は、ぜひここで解説している内容をマスターしておきましょう。

投資信託の仕組み

投資信託は「投資」を「信託」する、つまり「信じて委託する」運用商品です。投資から集めた資金を専門家であるファンドマネージャーが運用し、そこで得られた利益を投資家に還元する仕組みになっています。

投資信託の一つにETFがあり、これは証券取引所に上場している銘柄群のこと。日本には東京証券取引所に上場されているETFが多数あります。

ETFは日本だけでなく外国にもあり、例えば米国にはニューヨーク証券取引所やナスダック市場などに多くのETFが上場しています。

投資信託で利益を上げる方法は2種類

投資信託で利益を上げる方法は、2種類あります。1つはキャピタルゲインで、もう1つはインカムゲインです。

①キャピタルゲイン(値上がり益)

運用成績が良好だと、投資信託やETFの価格が上昇します。
購入した時よりも価格が高くなった状態で売れば、その差額が利益となります。このように価格差で得られる利益をキャピタルゲインといいます。

②インカムゲイン(分配金)

投資信託やETFの中には運用によって得られた利益を分配金として投資家に支払う銘柄があります。
分配金は所有しているだけで得られる利益なのでキャピタルゲインではなく、インカムゲインと呼ばれています。不動産投資の家賃収入も、インカムゲインの一種です。

投資信託とETFの違い

投資信託とETFの違い

ETFは上場している投資信託なので、投資信託という大きなカテゴリーの中にETFがあるという位置付けです。上場していることからETFは株式とほぼ同じように取り扱われているため、売買をするには証券会社の口座が必要です。

それに対して非上場の投資信託は銀行や郵便局などでも売られているため、銘柄によっては証券会社の口座がなくても購入可能です。

信託報酬(運用コスト)については、全体的に非上場の投資信託よりもETFのほうが安い傾向にあります。

また、非上場の投資信託の中には運用益だけではなく運用資産の中から分配金を出している銘柄があります。これは「タコ足配当」と呼ばれ、飢えたタコは自分の足を食べる習性があることにちなんだものです。

タコ足配当で分配金を出すというのは投資家が出したお金を戻しているだけなので利益が出ているとはいえず、タコ足配当の投資信託は推奨しません。

これに対してETFはタコ足配当ができない仕組みになっているため、分配金を出すことによって運用資産が減ってしまうことはありません。

投資信託の種類

投資信託には、実に多くの種類があります。何を対象に運用しているのかによって分類されるため、分類の項目は運用資産の種類、地域、テーマなどで分類することができます。

主な投資信託の分類項目を一覧表にしてみました。

分類項目 種類
運用対象 株式、債券、不動産など
運用地域 日本、米国、欧州、先進国、新興国、全世界など
運用方針 インデックス、アクティブ
運用テーマ AI、ロボット、ESGなど

なお、ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字から作られた造語で、持続可能な社会の実現に資する経営をしている企業を評価する概念のことです。

例えば、「日本の株式で運用するインデックス型投資信託」ということであれば、日経平均株価と連動するように運用されている銘柄といったように、運用対象や地域、目標などによって膨大な数の投資信託から希望に合うものを選ぶことができます。

投資信託のリスクとリターンの関係

リスクとリターンが表裏一体であるというのは、投資の世界での常識です。高いリターンが期待できる投資には必ず、高いリスクが付き物です。その逆にリスクが低い投資は安全ですが、期待できるリターンも少なくなります。

リスクとリターンは表裏一体

投資信託でもこの図式が成り立っているので、新興国の株式など高いリターンが望めそうな投資信託は大幅な値下がりのリスクもはらんでいます。逆に先進国の債券など安全性の高い種類の投資信託では、高いリターンは望めません。

この関係性を理解した上で、どの程度のリスクを許容できるかを考えた上で投資信託を選ぶのがよいでしょう。

もちろん特定の1本だけに絞り込む必要はなく、ローリスクローリターンの安全な投資信託を購入する一方で、ハイリスクハイリターンの投資信託も一部組み込んでみるなど、異なる性質の投資信託を組み合わせるのもおすすめです。

投資信託で期待できる利回り

投資信託では、どの程度の利回りが期待できるのでしょうか。キャピタルゲイン(値上がり益)狙いの銘柄、インカムゲイン狙いの銘柄それぞれについて代表的な銘柄を挙げて、投資によって得られる利回りを見てみましょう。

①NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)

この投資信託の分配金利回りは、1.7%です(2023年11月時点)。そして2022年11月の価格は28,500円前後です。仮に28,500円から33,800円まで上昇したとすると、上昇分のリターンは5,300円。年間リターンに換算すると約19%です。
持っているだけで1年で1.7%のインカムゲイン、そして2022年11月から翌年11月は日経平均株価が上昇したため、キャピタルゲインで約19%の利回りが得られたことになります。

②iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)

インカムゲイン重視の投資信託である「iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)」の1年間利回りは3.93%です(2023年11月時点)。購入して持っておくだけで4%近い利回りが得られたことになります。

③バンガード米国高配当ETF(VYM)

上記と同じくインカムゲイン重視の高配当ETF。その代表格として知られるVYMの年間利回りは、3.09%です(2023年11月時点)。

このように投資信託によって利益の狙い方はさまざまです。インカムゲイン重視の投資信託はおおむね3%以上の利回りとなっています。

キャピタルゲイン狙いの投資信託は価格が上昇するかどうかが鍵を握りますが、先ほど紹介した①の場合は1年間の値上がり益だけでも19%もの利回りが得られたことになります。

投資信託に近い投資商品

投資信託は運用をプロに任せることができることが最大の特徴です。その意味で投資信託に近いものとしては貯蓄型保険や不動産クラウドファンディングが挙げられます。

貯蓄型保険とは、貯蓄性がある生命保険のことです。保険料の一部を積立金として払い込み、生命保険会社がそのお金を運用します。

そして不動産クラウドファンディングは、投資家から集めたお金で特定の不動産を購入し、その不動産で得られる利益を還元します。

いずれも投資家に代わってプロが運用するという点で投資信託と共通しています。投資信託以外でプロに任せられる投資をしたいという場合は、このような選択肢からも検討してみるとよいでしょう。

投資信託のメリット6つ

投資信託のメリット6つ

投資信託には実に多くのメリットがあります。投資信託の主なメリットについて、ここで6つの項目に整理して解説します。

①投資のプロが運用してくれる

運用をプロであるファンドマネージャーに任せることができるのは、投資信託だからこそのメリットです。これにより、投資初心者であっても不利になることがありません

「選んで買うだけ」というシンプルさも初心者が感じやすいハードルを下げてくれます。

②投資信託そのものに分散効果がある

複数の運用商品を「積み合わせパック」のようにしたものが投資信託です。

そのため投資信託を1本持っているだけでも一定の分散性があります。投資のリスク抑制では分散投資が基本ですが、投資信託はそもそも分散性の高い商品です。

本質的に高い分散性がある投資信託を複数銘柄を持つと、さらに分散性が高まってリスクに強い投資となります。

③少額から投資可能で積立も容易

投資信託はとても種類が多く、その中には売買単位が小さい銘柄も多数あります。売買単位が小さい銘柄を選ぶと少額からの投資をしやすい上に、積立にも活用しやすくなります。

少額で投資ができる一方で高い分散性があるのは、投資信託ならではのメリットです。

④リスクとリターン別に幅広い選択肢がある

銘柄の種類が多いということは、リスクとリターンによって選べる選択肢も多くなります。

極力リスクを抑えた投資をしたいということであればそのニーズに応える銘柄がありますし、その逆に積極的にリスクを取って大きなリターンを狙いたいと考える人にとっても、適した銘柄があります。

また、AIやロボットといった将来性の豊かなテーマに沿って関連銘柄を集めた投資信託もあります。ただし、こうしたテーマに沿った投資信託はそのテーマの流行りが終わってしまうと価格が低迷する傾向が強いため、テーマに基づく投資信託はあまりおすすめしません。

⑤NISAやiDeCoなど税優遇制度との親和性が高い

投資によって得られた利益が非課税になる制度として、NISAとiDeCoがあります。特に2024年に制度が大幅拡充される新NISAは注目度が高く、投資家の間でも評判となっています。

これらの優遇制度ではいずれも、対象の運用商品に多くの投資信託が含まれています。含まれている投資信託の選択肢が多いため選びやすく、税の優遇を受けながら運用できる可能性が高いのは大きなメリットです。

⑥透明性、公平性、安全性が確保されている

個別株ではインサイダー取引など、特定の人に有利になりやすい側面があります。しかし投資信託は複数の銘柄の「詰め合わせパック」なので、一部の人だけが不正を働く余地が少なく、公平かつ透明性の高い取引環境が確保されています。

また、信託保全スキームによって保護されていることもあり、安全性が高いことも長期投資をする上で重要なメリットとなります。

投資信託のデメリット、リスク3つ

投資信託のデメリット・リスク3つ

多くのメリットがある一方で、投資信託には知っておくべきデメリットやリスクもあります。これらの3項目についてもしっかり留意した上で投資をするようにしましょう。

①リスクの軽減にも限界がある

投資信託は元本保証ではないため、購入後に価格が下落して元本割れを起こす可能性があります。このことは「極力リスクを取りたくない」と考える人にとって重大なデメリットだと感じるかもしれません。

投資をする以上、元本割れのリスクを完全に排除することはできませんが、価格変動によるリスクをできる限り抑制する手法は確立しています。代表的な手法の一つが、ドルコスト平均法です。

【ドルコスト平均法とは】

定期的に一定金額ずつ積立投資をすることにより、購入価格を平均化していく手法のことです。一定額ずつ買い増しをしていくため、高い時には少なく買い、安い時には多く買えることになります。
これにより購入価格が平均化されるため、期間が長くなるほどリスク抑制効果が高くなります。

ドルコスト平均法は個人投資家も手軽に実践できる手法でありながらリスク抑制効果がとても高いので、おすすめの手法です。

また、分配金狙いの投資信託を積み立てている場合、一時的な価格の下落はむしろチャンスです。そんな時には積極的に買い増しをして投資規模を拡大していくと、資産形成が加速していきます。

②手数料や税金のコストがある

投資信託やETFの売買には、手数料がかかります。

しかし、投資信託の中にはノーロードといって購入手数料が無料になる銘柄がありますし、証券会社によっては一部の投資信託やETFの売買手数料を無料にするサービスを行っていることがあるので、これらをうまく活用すると購入時のコストを抑えることができます。

また、運用益に対しては一律で20.315%の税金がかかります。米国ETFの場合は分配金に対して米国内の課税もあるので、これについてもコストとして留意しておく必要があります。この税負担についてもNISAやiDeCoを活用することにより国内の課税分をゼロにすることが可能です。

手数料や税金についてもうまく立ち回ることでコストを大幅に圧縮することができるので、それぞれのオトクな制度をうまく活用したいものです。

③運用に対するコストがある

運用をプロに任せることができるのは投資信託の魅力ですが、そこには人件費が発生します。運用を委託することによって発生するコストを、信託報酬といいます。

仮に信託報酬が1%だとすると、運用で3%の利益が出ているとしても投資家が手にするのは1%差し引かれた2%になります。

この手数料が高すぎると資金を増やしにくくなるので、信託報酬は0.5%を基準にして、これを上回っていると「高すぎる」と判断してもよいでしょう

インデックス型の投資信託は指数と連動するように機械的な運用をするだけなので、積極運用を目指すアクティブ型よりも信託報酬が安い傾向があります。

運用期間が長期になると信託報酬の差も大きくなります。その意味でもインデックス型の投資信託は長期投資向きといえます。

おすすめの投資信託についてよくある質問

おすすめの投資信託について、よくある質問とその答えをまとめました。

おすすめの投資信託の大半がインデックス型なのはなぜですか?

株価指数など常に公開されている指数と連動するように運用されているため透明性が高く、また分散効果も高いことから「リスクを抑える」という意味でおすすめできます。信託報酬が安い傾向があるため、長期運用になるとコスト面でもインデックス型が有利です。

アクティブ型は短期的にインデックス型を上回るパフォーマンスを上げるかもしれませんが、長期的に見るとインデックス型のほうが強いという試算結果が大多数です。

世界全体では経済成長が続いており、インデックス型はこうした経済成長による株式市場の成長を資産増につなげることができます。

なぜ初心者には投資信託がおすすめなんですか?

自分自身で個別株を売買したり、FXのトレードをするといった投資行動をするには、かなりの知識と経験を要します。

それだと初心者が不利になってしまいますが、投資信託はこうした投資行動をプロに任せることができるため、初心者が不利になりにくいというのがおすすめできる最大の理由です。

また、運用を人任せにできるため投資に要する時間が極めて少なく、サラリーマンなど本業がある人であっても時間的な負担がほとんどありません。

投資信託はリスクを抑えやすいといっても元本保証ではないところが気になります。

元本保証ではない以上、安全性が高い投資信託といえどもリスクを0%にできるわけではありません。

しかしながら投資信託は分散性の高さゆえにリスク抑制効果は高く、例えば全世界株式型の投資信託であれば、世界の経済システムが崩壊するほどの事態にならない限り、「紙くず」になる可能性は極めて低いです。

第2次世界大戦中であっても日本株は上昇しました。逆に米国株は戦前に暴落を経験しますが、それでもその後株価は堅調に回復した事実があります。世界を揺るがすような戦争が起きても、株式市場は崩壊することなく機能していたことになります。

元本保証だと1%を大幅に下回る利回りしか期待できず、資産形成効果が弱くなってしまいます。「運用していても大して増えない」ということに不満を感じるのなら、最低限のリスクは取るしかありません。

50代から老後資金のために始めるなら、何がいいですか?

年代的にあまり積極的にリスクを取って高利回り商品を選ぶよりも、しっかりリスクを抑えながら着実に老後資金を構築していくことをおすすめします。

この年代だと資金をある程度用意できる方が多いと思うので、利回りよりも1回あたりの積立金額を多くすることで資産形成のスピードを速めるのがよいでしょう。

キャピタルゲイン狙いの投資には時間を要するため、分配金の形で利益が還元されるインカムゲイン型の銘柄がおすすめです。当記事で紹介した銘柄の中では「iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)」や「バンガード米国高配当ETF(VYM)」などがおすすめです。

50代になるまで何も投資をしてきませんでしたが、大丈夫でしょうか?

投資経験の少ない方がリスクの高い投資をすると大損をしてしまう恐れがあるため、初心者ほど運用をプロに任せられる投資信託が最適です。投資信託を選ぶのにも目利きが必要になるため、最初はインデックス型を選ぶのが無難といえます。

投資信託は選んで購入すればあとは放置できる運用商品です。ドルコスト平均法を活用して定期的に買い増しをしていくか、一時的な値下がりが起きた時に買い増しをするだけで運用できます。この難易度の低さも、投資信託が初心者向きといえる理由です。

投資信託のおすすめ商品に関するまとめ

  • 投資初心者が選ぶならインデックス型の投資信託がおすすめ
  • リスクを完全に排除することはできないが、できる限り抑制する方法はある
  • 投資信託はそれ自体にリスク分散性がある

投資対象を選ぶ際のポイント5つ

  • 運用にかかるコストから選ぶ
  • 純資産総額から選ぶ
  • 運用成績を確認する
  • 投資信託の種類から選ぶ
  • 毎月分配型でない投資信託を選ぶ

記事の編集責任者

齋藤直人

FINANCIAL JOURNAL編集長

齋藤直人

編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。

雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。

FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips

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