FXのテクニカル分析とは?初心者必見の指標の種類とトレード手法を解説
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FXで安定的に利益を出すためには、相場を読み解く必要があります。
その方法として、多くのトレーダーが実践しているのが「テクニカル分析」。FXで使われる2つの分析手法の一つです。
この記事では、FXのテクニカル分析がどういったものなのかをファンダメンタルズ分析と比較しながら解説。具体的な分析手法や注意点などをFXを始めたばかりの初心者向けに紹介します。
テクニカル分析で押さえておくべきこと
- ローソク足チャートをまず理解する
- まずは知名度の高いインジケーターを覚えよう
- 初心者には移動平均線やRSIのようなメジャーなテクニカル指標がおすすめ
目次
FXのテクニカル分析とは?FXで使われる2つの分析方法を解説
相場の分析方法には、大きく分けてテクニカル分析とファンダメンタルズ分析の2つがあり、ほとんどのトレーダーはこの2つの分析方法を駆使して相場動向を読んでいます。
この記事では、多くのトレーダーに人気のあるテクニカル分析の基本を中心に、相場分析の方法を紹介していきます。
テクニカル分析|過去の値動きパターンから未来を予測する方法
テクニカル分析とは、過去の値動きを基にして将来の値動きを予測する分析方法です。通貨の動きをグラフ化したチャートを使って、売買のタイミングを見極めていきます。
例えば、「過去に150円まで上昇したところで下落したから、次も150円まで上昇したら下がるだろう」と予測するようなイメージです(この場合、150円まで上昇したところで売りのエントリーをすることになるでしょう)
テクニカル分析で使われる「指標(インジケーター)」には大きく分けて「トレンド系」と「オシレーター系」の2種類があり、テクニカル分析では「どの指標を使って分析するのか」がポイントになってきます。
まずはテクニカル分析の基本、ローソク足チャートを理解しよう
テクニカル分析を理解するためには、何よりもまず、チャートの基本となるローソク足を理解する必要があります。
ローソク足は設定した時間軸における「始値、高値、安値、終値」で構成されています(これら四つを四本値といいます)。例えば1時間足なら、ローソク足1本につき1時間の四本値、5分足なら1本で5分間の四本値が分かります。
四本値の中でも特に終値は、その時間内の買い手と売り手の攻防が表れているので、最も重要視されています。多くのテクニカル指標でも、デフォルトだと終値が使用されています。
このローソク足を並べたチャートはローソク足チャートと呼ばれ、世界中のトレーダーに見られている非常にポピュラーなチャートです。
ローソク足の見方 |
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ローソク足は始値よりも終値が上昇していれば陽線で、その時間は買い手が勝利したということです。始値よりも終値が下落していれば陰線となり、その時間は売り手が勝利したことになります。 始値と終値で作られた四角い部分がローソク足の実体です。実体から上下に出ている線は「ひげ」と呼ばれます。 実体の上に出ているひげは上ひげと呼ばれ、その時間の高値を表しています。反対に実体の下に出ているひげは下ひげと呼ばれ、その時間の安値を表しています。 ローソク足の形状やパターンによって上昇や下落が継続する兆候を示したり、相場反転の兆候を示す場合があるので、よく観察しておきましょう。 |
始値 | ローソク足を構成する期間の最初の価格 |
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高値 | ローソク足を構成する期間の一番高かった価格 |
安値 | ローソク足を構成する期間の一番安かった価格 |
終値 | ローソク足を構成する期間が終わった時の価格 |
これが実際のローソク足のチャートで、緑が陽線、赤が陰線になります。
右肩上がりにチャートが進んでいる状態が上昇トレンド、反対に右肩下がりにチャートが進んでいる状態が下落トレンドです。方向性がなく、一定の間隔で上がったり下がったりする状態がレンジ相場です。
上昇トレンド時は陽線の方が多く、下落トレンド時は陰線の方が多くなります。レンジ相場の時はほぼ同じ割合です。
多くのテクニカル分析の基になった相場理論「ダウ理論」とは
テクニカル分析は非常に長い歴史があり、現在のテクニカル分析の基となっているのは、19世紀の終わりごろに考案された「ダウ理論」です。
この理論を考案したのは、アメリカの証券アナリストだったチャールズ・ダウ氏で、このダウ理論は現在の相場分析にも通用します。
つまりテクニカル分析は決していい加減なものではなく、長い相場の歴史の中で練り上げられていったものであるということです。
ダウ理論については別の記事で詳しく解説しているので、興味のある人はぜひ以下の記事もご覧ください。
ファンダメンタルズ分析|社会・経済情勢から未来を予測
ファンダメンタルズ分析とは、政治や金融政策、経済データ、国際情勢などを基に将来の値動きを予測する分析方法です。
例えば、「米国が金利を上げるとの報道があった。米国の金利が上がったらドルが買われ、長期的にドル高になると予測できるので、ドル/円を買っておこう」といったイメージです。
テクニカル分析と違ってチャート上で分析を行わず、世界中の政治経済の動向に関する知識が必要になってくるためハードルが高いイメージがありますが、政策金利などの金融政策や景気動向は長期的な相場に大きな影響を与えます。
FXに本気で取り組むのであれば、少なくともFX会社の経済指標カレンダーで重要視されている経済指標や、各国の中央銀行や政府などの発言には注視した方が良いでしょう。
テクニカル指標(インジケーター)は、大きく分けて2つ
テクニカル分析は、ローソク足チャートにさまざまなテクニカル指標を表示させて分析していきます。このチャートに表示するテクニカル指標はインジケーターとも呼ばれます。
テクニカル指標は大きくトレンド系とオシレーター系の2種類に分けられ、それぞれ特徴があります。
どのような特徴があるのか、一つずつ確認していきましょう。
トレンド系|相場の方向性を視覚化したもの
トレンド系とは、相場の方向性を見極めるために使われるテクニカル指標で、基本的にはローソク足チャートの上に重ねて表示されます。
上の画像は、ローソク足チャートに移動平均線を表示した状態。下の画像は、ボリンジャーバンドを表示した状態です。
トレンド系の指標を簡単に説明すると、今は上昇相場なのか、下落相場なのか、それとも値動きが停滞しているレンジ相場なのか、トレンドが出ている場合はどのくらいの勢いがあるのかを分析するために使われます。
基本的に、トレンドに追従していく順張りに使われます。
トレンド系指標の例
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- 一目均衡表
- エンベロープ
- GMMA など
オシレーター系|相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を視覚化したもの
オシレーター系とは、相場の過熱感を分析するために使われるテクニカル指標です。トレンド系とは違い、基本的にローソク足チャートの画面とは別画面で表示されます。
上の画像は、ローソク足チャートの下にMACDとRSIを表示した状態です。
オシレーター系の指標を簡単に説明すると、今が買われすぎなのか、売られすぎなのかを判断するために使われます。
基本的には売られすぎを示した時に買い、買われすぎを示した時に売りの「逆張り」を狙う際の判断基準に用いられます。
オシレーター系指標の例
- MACD
- RSI
- RCI
- ストキャスティクス
- 移動平均乖離率
- サイコロジカルライン など
主要なテクニカル指標2選と基本的な使い方
テクニカル指標にはほとんどのFXトレーダーが知っているような知名度の高いものから、個人が作成したものまで、非常に多くの種類があります。
ここからは世界中のFXトレーダーが愛用している有名なトレンド系インジケーターを2種類ピックアップして紹介していきます。
トレンド系① 移動平均線
トレンド系インジケーターの代表的存在ともいえるのが移動平均線です。英語だと「Moving Average」と呼ばれ、一定期間の終値を平均化し、線でつないだ指標(上の画像でいうと赤と紫の線)です。
基本的な見方としては、移動平均線の向きで判断します。移動平均線が上向きなら上昇トレンド、横ばいなら方向感のないレンジ相場、下向きなら下落トレンドと判断します。
また、価格(ローソク足)と移動平均線の位置関係でも相場状況を判断できます。価格が移動平均線の上側にあれば上昇基調、下側にあれば下落基調と判断できます。
移動平均線の使い方
移動平均線の使い方の一つに、ゴールデンクロス・デッドクロスで売買タイミングを計る方法があります。
使い方その① |
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まず一つ目の使い方は、価格(ローソク足の実体)が移動平均線を上抜くゴールデンクロスの発生は上昇トレンドになりそうだから買い、価格が移動平均線を下抜くデッドクロスの発生は下落トレンドになりそうだから売りと考るやり方です。 |
使い方その② |
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また、短期移動平均線と中期移動平均線の2本の移動平均線を表示する方法もあります。短期移動平均線が中期移動平均線を上抜いたら買いの勢いが強いから買い、短期移動平均線が中期移動平均線を下抜いたら売りの勢いが強いから売りと判断できます。 なお、ゴールデンクロス、デッドクロスは必ずしも価格が上昇したり、下落するわけではないので注意しましょう。 移動平均線を使ったトレード手法には非常に有名な「グランビルの法則」があります。移動平均線を使う人はぜひ参考にしてみてください。 |
トレンド系② ボリンジャーバンド
トレンド系テクニカル指標で人気が高いのがボリンジャーバンドです。米国のアナリストであるジョン・ボリンジャー氏が考案した指標で、移動平均線からの標準偏差を基に相場動向を測ります。
基本的な見方としては、移動平均線を中心に、標準偏差±1σ、±2σ、±3σ(σは「シグマ」と読む)のバンドが移動平均線の上下に表示されるので、それらを見て相場の動きを判断します。
標準偏差のバンドには以下の特徴があります。
- +1σ〜−1σのライン内に収まる確率:約68.3%
- +2σ〜−2σのライン内に収まる確率:約95.5%
- +3σ〜−3σのライン内に収まる確率:約99.7%
また、バンド幅の広がり方によってボラティリティ(価格変動の度合い)を判断できます。上下のバンド幅が広がるとボラティリティが大きく、狭まるとボラティリティが小さいと判断できます。
ボリンジャーバンドの使い方 |
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ボリンジャーバンドのバンド幅が拡大すると、トレンドの発生、または継続と判断します。 このバンドが拡大した際に、価格が±1σや±2σに沿って動いているバンドウォークが発生した場合は、その方向に追従する順張りトレードが良いでしょう。 そして、バンドが収縮してくるとトレンドが終わります。 バンドの縮小と拡大は何度も繰り返され、バンドが縮小している時は「拡大までのエネルギーの充電期間」と考えることができます。 |
オシレーター系のテクニカル指標3選と基本的な使い方
ここでは世界中のFXトレーダーが愛用している有名なオシレーター系インジケーターを3種類ピックアップし基本的な使い方と共に紹介していきます。
オシレーター系① MACD(マックディー)
MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、メインチャートの下部にサブチャートとして表示された2本のラインによって、相場の過熱感や方向性を判断します。
MACDの移動平均線は指数平滑移動平均線(EMA)が使われており、基本的には12日EMAのMACDと、26日EMAのシグナルラインで構成されています。
指数平滑移動平均線は単純移動平均線よりも市場の変化に反応しやすい特徴があり、MACDはトレンドの転換を早く捉えることから、人気があるオシレーター系テクニカル指標の一つです。
なお。オシレーター系の指標に分類されていますが、トレンド系のような使われ方もします。見方としては、MACDとシグナルラインが上向きなら上昇基調、下向きなら下落基調と判断できます。
また、MACDにはヒストグラムと呼ばれる棒グラフも表示されます。このヒストグラムが上に伸びているときは上昇基調、下に伸びているときは下落基調と判断できます。
MACDの使い方 |
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2本の移動平均線のうち、MACDがシグナルラインを上抜くゴールデンクロスが発生した時に買いシグナルと判断して買い目線、MACDがシグナルラインを下抜くデッドクロスが発生した時は売りシグナルと判断して売り目線と考える使い方です。 または、ヒストグラムがプラスからマイナスに変化する際に売り目線、反対にマイナスからプラスに変化する際は買い目線と考える方法もあります。 |
オシレーター系② RSI
オシレーター系のテクニカル指標の中でも非常に人気が高いのがRSIです。米国のJ・ウエルズ・ワイルダー氏が作成したテクニカル指標で、相対力指数とも呼ばれます。一定期間の値動きを基に買われすぎや売られすぎを測ります。
RSIは0〜100%の範囲で推移します。70%〜80%以上にグラフが動いたら買われ過ぎ、20%〜30%以下にグラフが動いたら売られ過ぎと判断するのが基本的な見方で、逆張り的なトレードに用いられることが多いといえます。
RSIの使い方 |
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70%〜80%に到達したら買われすぎと判断して売り、20%〜30%に到達したら売られすぎと判断して買いと考えます。 この時のポイントとしては、70%〜80%や20%〜30%に到達したらすぐに買いや売りを考えないこと。70%〜80%を下抜く時や20%〜30%を上抜く時を狙った方が良い場合が多いでしょう。 なお、RSIをはじめオシレーター系の指標は明確なトレンドが出ている時には機能しない傾向がある(ずっと買われすぎ、売られすぎのゾーンで動き続ける)ので要注意。トレンドの出ていないレンジ相場で相性がいいとされています。 |
オシレーター系③ ストキャスティクス
RSIと非常に似たツールとしては「ストキャスティクス」というものもあります。
RSIと同じように、ラインの形状によって「売られすぎ」「買われすぎ」を判断するもので「%K(パーセントK)」や「%D(パーセントD)」、「Slow%D(スローパーセントD」というラインで構成されます。
「%K」と「%D」を使うファーストストキャスティクスと、「%D」と「Slow%D(あるいはSlow%K)」を使うスローストキャスティクスの2種類があります。
ストキャスティクスの使い方 |
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%DあるいはSlow%Dが0%~20%の水準にある場合、売られすぎを示唆しています。80%~100%の水準にある場合は、買われすぎを示唆しています。 このあたりの分析方法は、RSIと非常に似ている部分といえるでしょう。 違いとしては、ストキャスティクスは2本の線で構成されるため、その線のクロスも判断材料になるという点です。 たとえば売られすぎの水準にあるとき、%DあるいはSlow%Dが下から上へ抜けるゴールデンクロスが発生した場合には、より強い上昇サインと判断することができます。 |
その他のテクニカル分析の手法
テクニカル指標だけでなく、チャート上の重要なポイント(価格)にラインを引いて分析する方法もテクニカル分析として多くのトレーダーが行っています。
ここでは、メジャーな3種類のラインを使った分析方法を紹介していきます。
トレンドライン
トレンドラインとは、トレンドに沿って引いた線です。基本的に上昇トレンドなら安値と安値を結び、下落トレンドなら高値と高値を結ぶ線を引きます。
つまり、上昇トレンドなら下側、下落トレンドなら上側に線が引かれることになります。
基本的な見方としては、上昇トレンドラインは下値を支えるサポートラインと考え、反対に下落トレンドラインは上値を抑えるレジスタンスラインと考えましょう。
もし上昇トレンドラインを価格が下抜いたり、下落トレンドラインを価格が上抜いた場合は、トレンドが転換する兆しと判断します。
サポートライン | 下値支持線とも呼ばれ、これ以上は下落しないだろうという目安となるラインのことです。価格がラインに近づくと、反発して上昇するケースが多いです。 |
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レジスタンスライン | 上値抵抗線とも呼ばれ、これ以上は上昇しないだろうという目安となるラインのことです。価格がラインに近づくと反発して下落するケースが多いです。 |
トレンドラインの使い方 |
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上昇トレンドなら、価格がトレンドライン(サポートライン)に到達したら上昇を狙って買い目線と考えます。 反対に、上の画像のように下落トレンドなら、価格がトレンドライン(レジスタンスライン)に到達したら下落を狙って売り目線と考えます。 なお、上昇トレンド(下降トレンド)でトレンドラインを明確に下抜く(上抜く)と、トレンドが転換する兆しになるので、注意しましょう。 |
水平線(レジスタンスライン・サポートライン)
水平線とは、チャート上の重要なポイントとなる価格帯に水平に引いた線のことです。水平線がレジスタンスラインとサポートラインになる場合が多く、多くのトレーダーが使っています。
よくあるのが、直近の高値や安値、100円や200円のようなキリの良い価格、あるいは何回も反発している価格帯に引く場合が多いです。
水平線が機能する要因は、「多くのトレーダーがその水平線を引いた価格帯に注目するから」だと考えられます。例えば、何回も反発している価格帯なら、「そこに到達したらまた反発するだろう」と多くの人が期待して注文を入れるため、実際に反発するわけです。
水平線の使い方 |
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価格が水平線に近づいたときに反発を狙うことができます。高値に引いた水平線なら売り目線、安値に引いた水平線は買い目線と判断しましょう。 ちなみに水平線でピッタリと反発するケースもあれば、水平線をいったん超えてから反発するケースもあります。水平線を上抜いたり、下抜いた場合は相場が転換する兆しでもあるので注意しましょう。 なお、価格が水平線を大きく上抜け(下抜け)すると水平線の機能が逆転することがあります。例えば、これまではレジスタンスラインとなっていた水平線が、相場の転換によって、今度は下値を支えるサポートラインになるということです。 |
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントとは、フィボナッチ比率に基づいたラインを引き、トレンド相場における押し目や戻りの目安を測る場合に使われます。
引き方は描画ツールから「フィボナッチ・リトレースメント」を選択し、上昇トレンドなら直近の安値から高値を結ぶ、下落トレンドの場合は高値から安値を結ぶと、自動的にフィボナッチ比率に基づいた水平線がチャート上に表示されます。
表示されたラインがサポートラインやレジスタンスラインとして機能するケースが多く、そのラインに到達したら押し目や戻りと判断します。
フィボナッチ比率とは |
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イタリアの数学者のレオナルド・フィボナッチが中世時代に発見した「フィボナッチ数列」を基にした比率で、黄金比とも呼ばれています。 黄金比は人間が最も美しいと感じる比率のことで、有名な「ミロのヴィーナス」や「モナ・リザ」などもこの黄金比にあてはめて考えることができると言われています。 フィボナッチ・リトレースメントでは、この黄金比である0%、23.6%、38.2%、50.0%、61.8%といったラインが描かれます。 |
フィボナッチ・リトレースメントの使い方 |
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例えば、画像は下落トレンドにフィボナッチ・リトレースメントを引いています。1が始点で、0が終点です。 下落からの価格の戻りが23.6%ラインや38.2%のラインに到達したら、反発して下落していることが分かります。つまりこの場合、ラインに到達したら反発を狙ったトレードを考えられるということになります。 基本的に、23.6%、38.2%、50.0%のラインがレジスタンスラインやサポートラインとなるケースが多いので、そこでエントリーや利益確定を狙うことになります。 ただし、どんなテクニカル指標やラインでも言えることですが、必ず反発するわけではないことには注意しておきましょう。 |
テクニカル分析の注意点
ここまでの解説を読むと「テクニカル分析をマスターすれば相場の分析は簡単だ」と思うかもしれません。しかし当然ながら、テクニカル分析にも注意点があります。必ず知っておくべきポイントを解説します。
テクニカル分析の注意点3つ
- テクニカル分析をしても取引結果が100%保証されるわけではない
- 初心者はメジャーなテクニカル分析から使い始める
- テクニカル分析に付き物の「ダマシ」に注意
テクニカル分析をしても取引結果が100%保証されるわけではない
テクニカル分析は、あくまでも「過去の相場の値動き」のパターンから未来を予測するもので「必ずこうなる」というわけではありません。
テクニカル分析のすべての考え方は、化学的・物理的な法則などとは違い、例外も普通に起こり得ます。
相場の分析は、テクニカル分析のいろいろな指標やファンダメンタルズ分析を組み合わせ、さらに自分自身の経験などを総合して行うものです。テクニカル分析だけですべてが解決するものではないということも知っておきましょう。
初心者はメジャーなテクニカル分析から使い始める
テクニカル分析に使用する指標(インジケーター)の数は、膨大にあります。となると初心者は「どれを使ったらいいの?」ということが気になるでしょう。
結論からいうと、まずはどんなFX会社の分析ツールにもあるような、メジャーなものから使い始めるのがセオリーです。
ボリンジャーバンドを用いた実際のチャート画像
この記事で紹介しているような、トレンド系であれば移動平均線やボリンジャーバンド、オシレーター系であればMACDやRSIなどです。
これらのメジャーなツールは使っている人が多いため、何かしらサインが出ている場合は「意識している人も多い」ということになります。
テクニカル分析に付き物の「ダマシ」とは?
テクニカル分析は必ず当たるとは限りません。テクニカル指標では売買のシグナルが出ているのでシグナル通りにエントリーしたら、予想とは逆行して損失を出してしまったというケースも多いのです。
テクニカル指標の売買シグナルと逆行する状態を、俗に「ダマシ」と呼びます。
例えば、「移動平均線でゴールデンクロスが発生したから上昇すると予想し、買いでエントリーしたけど、すぐに逆行してしまった」というケースがよくある「ダマシ」の事例です。
テクニカル分析において「ダマシ」をすべて避けることは不可能です。さまざまなテクニカル指標が示すものは、あくまでも参考データであり「こういうシグナルが出ているから絶対だ」などと考えてはいけません。
エントリー前に、逆行した場合の損切りシナリオをしっかりと考えておきましょう。
FXではテクニカル分析とファンダメンタルズ分析、どちらが重要?
FX初心者の間ではよく「テクニカル分析とファンダメンタルズ分析は、どちらを重視したほうが良いか」という議論になります。
これに関してはどちらが優れているかではなく、それぞれの強みを理解することが重要です。テクニカル分析はエントリーやイグジット(決済)のタイミングを測るために重要ですし、ファンダメンタルズ分析は相場が長期的にどの方向に動いていくのかを予測するために重要です。
取引スタイルによってどちらにウエイトを置くのかは異なってきますが(以下で解説します)、両方できるようになると、よりトレードの幅が広がり、利益を獲得するチャンスが増えるでしょう。
スキャルピングやデイトレードなど、短期トレードの場合はテクニカル分析がより重要
スキャルピングやデイトレードのような短期トレードの場合は、テクニカル分析の方がウエイトが大きくなります。
短期トレードでは数分〜数時間のスパンでエントリーポイントやイグジットポイントを分析する必要があり、長期的な視点で分析するファンダメンタルズ分析では短期的な売買のポイントを探せません。
そのため、短期トレードではチャートの値動きを分析するテクニカル分析の方がウエイトが大きいといえるでしょう。
ただし、ファンダメンタルズ分析が不要というわけではありません。例えば、経済指標が発表される時間の前後では非常に大きな値動きになることがよくあります。
短期トレードを目指す人は、日々のトレードはテクニカル分析で行いつつ、経済指標の発表日や各国の金利動向といったファンダメンタルズの観点も押さえておくことが重要です。
スイングトレードやポジショントレードなど、長期トレードの場合はファンダメンタルズ分析がより重要
スイングトレードやポジショントレードのように中長期目線でトレードする場合は、金融政策や経済政策で相場を分析するファンダメンタルズ分析の方がウエイトが大きくなります。
長期トレードでは数週間〜数か月のスパンで取引するため、目先のエントリーやイグジットではなく、より長い目線で相場がどう動いていくのかを予測する必要があります。
その意味では、短期的な売買ポイントを探すテクニカル分析よりも、金融政策や経済指標を基にしたファンダメンタルズ分析の方がウエイトが大きいといえるでしょう。
もちろん、テクニカル分析が全く役に立たないというわけではありません。長期目線でも、エントリーやイグジットで有利なポイントを見つけたい場合はテクニカル分析を使う必要がありますし、長期足(日足・週足・月足)での動きは相場の大きな流れを表します。
中長期投資をしたい人も基本的なテクニカル分析の方法は押さえておいた方が良いでしょう。
テクニカル分析に向いているFX会社
まず結論として、どのFX会社もチャートツールを提供しているのでテクニカル分析をすることは可能です。自社独自のツールか、そうでないのかという違いはありますが、「チャートツールをまったく提供していない会社」はないと言っていいでしょう。
今回は、その前提のうえで「テクニカル分析に向いているFX会社」を考え、かつて編集部が行ったアンケート結果も踏まえ、以下の観点で3社をピックアップしました。
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FXのテクニカル分析について、初心者によくある疑問
テクニカル分析を勉強し始めると「これはどうなんだろう?」と思うことがいくつも出てきます。
ここでは、初心者によくある疑問点をいくつかチョイスして解説していきます。
初心者におすすめのテクニカル指標は何ですか?
テクニカル指標にはさまざまな種類があるので、一概に「これが初心者におすすめ!」と言えるものはありません。
一つアドバイスすると、移動平均線やRSIのようなメジャーなテクニカル指標がおすすめです。
多くの人が使っているメジャーなテクニカル指標だと、売買シグナルが多数の人に意識されるため、その売買シグナルを基に買ったり、売ったりする人も多くなり、機能しやすいメリットがあります。
反対に、あまりにマイナーなテクニカル指標だと使っている人が少ないので、売買シグナルの発生が意識されにくく、結果的にダマシになってしまうケースも増えます。
もちろん、マイナーなテクニカル指標が全てダメというわけではありませんが、初心者のうちはメジャーなテクニカル指標を使う方が無難といえるでしょう。
もっとも有効なテクニカル指標は何ですか?
初心者のうちは「一番有効なテクニカル指標」や「ダマシのないテクニカル指標」のような完璧なものを求めると思いますが、残念ながらそんな都合の良いテクニカル指標はありません。
プロトレーダーもテクニカル指標だけで勝っているわけではなく、長年にわたってトレードを続けて積み重ねた経験や知識によって勝てるようになっているのです。
大切なのは、「これさえあれば勝てる」といった魔法のツールを探すことではなく、自分なりにテクニカル指標を使って分析をし、売買してみること。トレードを重ねて経験を積み、相場観を磨いていくことが大切です。
初心者にとって「簡単に勝てるようになる近道なんてない」という事実は残念に感じるかもしれませんが、その事実に向き合って地道に経験を積んで行くことが、結果的には近道といえるでしょう。
YouTubeやブログなどで高勝率をうたった高額なインジケーターを販売しているケースもありますが、インジケーターだけで勝てるようになるわけではありません。
テクニカル指標はたくさん使った方が勝率は上がりますか?
テクニカル指標にはそれぞれ特性があり、組み合わせることによって売買タイミングの根拠が強まります。よくあるのが、トレンド系とオシレーター系を一緒に表示する方法です。
例えば、移動平均線とRSIを一緒に表示し、移動平均線でトレンドなのかレンジなのかを確認しつつ、RSIで売買のタイミングを測るような使い方ができます。
相性が良いテクニカル指標の組み合わせを探してみると、新たな発見があるかもしれません。
ただし、組み合わせると言っても、インジケーターを5つも6つも使うと、シグナルが出過ぎてどれを信じて良いのか判断できなくなります。
基本的には、2〜3つを組み合わせるのがおすすめです。
FXのテクニカル分析に関するまとめ
- FXのテクニカル分析とは、過去の値動きパターンから相場を予測する方法
- トレンド系、オシレーター系のインジケーターなどを利用して、チャートを分析していく
- インジケーターが取引のシグナルを示していても、必ずそうなるわけではなく「ダマシ」が発生することもある
- 自分なりにテクニカル分析をして、経験を積んでいくことが大切
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記事の編集責任者
FINANCIAL JOURNAL編集長
齋藤直人
編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips
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