逆指値とは?指値とセットで必ず覚えたい、株やFXの基礎知識
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株やFXで取引をする際、もっともシンプルなのは「取引画面を見ながらその場で発注する」という方法です。
しかし、これ以外にも「あらかじめ値段を設定しておく」という方法もあり、実際にはこちらの方が多く使われるのではないでしょうか。
この記事では、そんな注文方法の一つ「逆指値」について徹底的に解説します。
「逆ってどういう意味?メリットは?」
そんな疑問を持っている人には必見の内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
まずはここから知っておきたい「成行注文」と「指値注文」
「逆指値」がどういうものかを知るのなら、まずは「成行(なりゆき)」と「指値(さしね)」についての知識を押さえておきましょう。
株やFXの注文は、成行注文と指値注文に大きく分けることができます。両者の違いを簡単に解説すると、以下のようになります。
- 成行注文
→市場で取引されている現在値(レート)で約定させる注文 - 指値注文
→あらかじめ指定した価格(レート)になったら約定させる注文
成行注文は現在の価格で注文を出すため、約定する確率はとても高くなります。その一方で指値注文は指定の価格で約定させることを優先するため、約定する確率は低くなります。
この両者の違いについて、「ちょっとまだ理解できていない気がする」と思う人は、指値注文に関する詳しい解説記事がありますので、まずは以下の記事からご覧ください。
今よりも不利な価格で売り買いするのが「逆指値」
指値は基本的に「今よりも有利な価格になったら取引したい」というときに使う注文です。例えば、「今よりも安くなったら買いたい」とか「今より高くなったら売りたい」といったものです。
一方の逆指値は、「今よりも不利な価格で取引したい」ときに使う注文方法です。
「今よりも不利な価格」という部分に疑問を感じた方もおられると思いますので、例を挙げて解説しましょう。
例えばFXで米ドル/円が150円の時に、指値で買うのであれば150円よりも低いレートに注文を入れることになります。例えば145円に指値の買い注文を入れるといった具合です。逆に売りからのエントリーを目指すのであれば、現在よりも高い値段(155円など)に指値の売り注文を入れるといった具合です。
これが逆指値になると、売りと買いが逆になります。1ドルが150円の時に、155円に買い注文を、逆に145円に売り注文を入れるのが逆指値です。
これは新規エントリー時や決済時の両方に用いられます。どんな使い方をするかについては、後述していきます。
なぜそんな取引をするの?逆指値注文のメリット・デメリット
ここまで「今の価格よりも高いところで買い、低いところで売るのが逆指値」だというのを解説しました。
つまり「今より不利な価格」での取引をするわけですが、なぜこんなことをするのでしょうか。そこには逆指値だからこそ実現できるメリットがあるので、それも含めてメリットとデメリットについて解説しましょう。
- メリット①:高値安値をブレイクしたところで順張りのエントリーができる
- メリット②:自動で損切りできるように設定しておくことができる
- デメリット:注文した価格で必ず約定するとは限らない
メリット①:高値安値をブレイクしたところで順張りのエントリーができる
一般的に、相場にはサポートライン(以下:サポート)とレジスタンスライン(以下:レジスタンス)という概念があります。
サポートとは「それ以下には下がりにくい」と意識される価格帯で、レジスタンスは「それ以上には上がりにくい」と意識される価格帯のことです。それまでの高値や安値、テクニカル的に示唆されている節目などがサポート、レジスタンスとして機能します。
そして、下にあるサポートと上にあるレジスタンスの間を行き来している相場展開のことを、「レンジ相場」といいます。
レンジ相場は相場に方向感がない時に発生しやすいですが、大きなニュースや情勢の変化などあると上下のどちらかを突破し、そのまま「トレンド相場」という大きな流れが発生しやすくなります。なお、このようにレンジ相場から上下のどちらかに抜け出すことをレンジブレイクといいます。
そんな前提をふまえて、米ドル/円を例に解説しましょう。
例えば140円から150円のレンジ相場が続き、140円のサポートと150円のレジスタンスの間を行き来しているとします。
ここで「150円を一気に上抜けすると、レンジ相場は終わって上昇トレンドに転換するはずだ。150.10円を突破したらさらに上値を拡大するだろう」と予想したとすると、この場合は150.10円に逆指値の買い注文を入れることになります。
つまり、「現在よりも高い値段で買いたい」=「現在よりも不利な価格で取引したい」ということであり、逆指値注文を使うわけです。
「もっと下の価格から買えば利益が大きくなるじゃないか」と思うかもしれませんが、レンジをブレイクするのか、それとも再びレンジ相場に収まるかは、結果を見なければわからないことがほとんどです。
普通は「もしもレンジブレイクしたら買いたい」ということになるので、この場合は逆指値の出番となります。
メリット②:自動で損切りできるように設定しておくことができる
逆指値が役立つもうひとつの使い方に、損切り注文があります。保有中のポジションで含み損が無限に拡大するのを防ぐためにあらかじめ損切り注文を入れておくのはリスク管理の基本ですが、この場合も「今より不利な価格での注文」なので逆指値を用います。
具体的な例を用いて解説しましょう。
米ドル/円が140円の時に成立した買いポジションがあるとします。円安ドル高になれば利益となりますが、逆に円高になると含み損です。
思惑が外れた場合は損切りをしてそれ以上の損失拡大を防ぐのがセオリーですが、ずっと取引画面を見続けて成行注文で損切りの決済をするのは現実的ではありません。
そこで逆指値で135円に決済の売り注文を入れておけば、140円から5円逆行したところで自動的に損切りが発動します。
デメリット:注文した価格で必ず約定するとは限らない
これは逆指値注文だけではありませんが、FXや株などでは注文した価格どおりに約定するとは限りません。
「スリッページ」といって、指定した価格より少しずれた価格で約定することがあるため、レンジブレイク狙いや損切りなどのために逆指値の注文を入れていても少しずれたところで約定し、必ずしも想定していたとおりの投資結果にならないことがある可能性を念頭に入れておく必要があります。
実際の相場での逆指値の使用例
ここまでは、逆指値について基本的な知識を解説してきました。次に、実際のチャート画面を使用して逆指値を使用する一例を紹介していきます。
新規取引と決済において逆指値注文はどのように使われるのか、しっかりイメージをつかみましょう。
新規の逆指値注文:トレンドフォローでエントリーする
2022年の米ドル/円は歴史的な高値水準にあり、政府・日銀による為替介入があっても強い米ドルの買い圧力が続いています。特に150円の節目は長らく意識されてきたこともあって強いレジスタンスとして意識されてきました。
そこで「これを上にブレイクすると一気にドル高が加速するのではないか?」との予測を立て、それを売買戦略に反映すると、例えば「150.10円で逆指値の買い注文」となります。
10月21日の早朝に150円台に乗せた米ドル/円は150円付近でもみ合いながら10時をすぎると一気に上値を拡大し、2022年では2度目の為替介入が入るまで上昇を続けて152円に迫る勢いでした。つまりこの場合、150.10円の逆指値戦略は的中し、151円台で利益確定をしていれば大きな利益を手にしたことになります。
決済の逆指値注文:損失を限定させるためのストップロス注文
次に、逆指値を損切り注文に活用する事例も紹介しましょう。
先ほどと同じ2022年10月の米ドル/円相場では、損切りの重要性が強く意識される展開がありました。それは、2022年10月22日の深夜に起きた為替介入による急落です。それまで152円に迫る勢いで上値を拡大していただけに、FX個人投資家の多くが米ドル/円の買いポジションを積み上げていたと思われます。
この急落相場に備えるには、米ドル/円の買いポジションを建てる一方で1円程度の下落(円高)が起きることを想定して逆指値の決済注文を入れておくのが有効です。
150.10円から買うのであれば、149.10円に損切りのための逆指値売り注文を入れておくといった具合です。
実際に米ドル/円は146円台まで急落したので、損切り注文を入れていなければ夜中のうちに強制ロスカットになってしまった投資家もいるのではないでしょうか。為替介入という特殊要因もある要警戒の相場では、改めて損切りの重要性を実感させられます。
決済の逆指値注文:含み益の出ているポジションを「プラスで終える」ための逆指値
ここまで解説した方法の他にも、逆指値の活用法があります。ここでポイントとなるのは、逆指値注文を何度でも動かせることです。
一般的にエントリー後の逆指値注文は損切りのためのものですが、逆に大きな含み益が出ている時に逆指値を活用すると「相場がどう動いてもトレードをプラスで終える」ことを確定できます。
この概念を図にすると、以下のようになります。
思惑どおりの相場展開になり含み益が拡大している状況であっても、相場が反転すると含み益は減少し、さらに反転した相場が進むと含み益から含み損に転落する可能性もあります。
せっかく一度は大きな含み益が出ているのですから、この場合は逆指値を動かして利益を確定させておきたいところです。
「ここまで逆行したら利益確定しよう」という具合に逆指値注文を動かしておくと、相場が反転しても利益を逃すことがありません。もしもトレンド相場が継続して含み益が拡大するのであれば、それにともなって逆指値注文も上に動かし続けて、さらに確定利益を大きくすることもできます。
「損切り回避」のために逆指値を動かすのはタブー
上記のように逆指値注文は何度でも動かすことができるわけですが、これはあくまでも「含み益が拡大しているとき」にプラス収支を確定させるためのものです。
損切りのために入れている逆指値注文も自由に動かすことはできますが、損失確定を嫌って損切り注文を安易に動かすと損切りの規模が大きくなり、遂には「こんなに含み損が大きくなってしまったら、今さらもう損切りできない…」という状態になってしまう恐れがあります。
これが俗にいう「塩漬け」と呼ばれる状態です。
何らかの理由で相場が元に戻る可能性もありますが、それは当初の戦略にはなかった「結果オーライ」にすぎません。「結果オーライ」になればまだ救われますが、損切りができないままに含み損が大きくなりすぎて強制ロスカットになってしまうと大きなダメージになってしまいます。
含み益を確定させる逆指値は動かしても問題ありませんが、損切りのための逆指値は基本的に動かさないようにしましょう。
指値・逆指値の概念がわかったら、OCO・IFO注文も使いこなせる
ここまでの解説で、逆指値がどんな注文方法であり、どんな用途があるのかがお分かりいただけたと思います。それを踏まえて、ここでは逆指値を含む複合的な注文方法であるOCOとIFOについて解説します。
OCOは「One Cancels the Other」の略で、片方の注文が成立したらもう片方は無効になる注文です。基本的にはエントリー後、保有しているポジションの決済をするために用いられます。
利益確定と損切りの注文を同時に出すことができ、どちらか一方が成立したらもう片方は無効になるため、OCO注文の成立をもって1つのトレードは終了します。
さらにIFDとOCOを組み合わせた、IFO注文もあります。IFDは最初のエントリー注文が約定したら自動的に決済の注文を出す注文方法ですが、OCOのように利益確定と損切りの決済注文を同時に出せるのがIFOです。
IFOを活用すると、エントリーと利益確定、そして損切りの3つの注文を自動化することができます。
まとめ
- 逆指値は「今よりも不利な価格で約定する」ところが初心者には分かりにいかもしれないけれど、非常に有用
- 逆指値の役目の一つは損切りで、トレードの損失を限定することができる
- また逆指値は順張りでのエントリーや、含み益が出ているポジションをプラスで終えるためにも使える
- 投資スキルを向上させるためには、逆指値の使い方を覚えるのは必須
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、現在は自動売買を中心に運用中。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力し、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。
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記事の編集責任者
FINANCIAL JOURNAL編集長
齋藤直人
編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips
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