指値とは?FXや株を取引するなら必須の注文方法を徹底解説

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FXや株などの投資において、「指値(さしね)」という言葉はひんぱんに使われ、取引をするうえで非常に重要なものです。

ざっくりと言えば「この値段で取引したい」という注文なのですが、これだけでは指値を完全に理解したことにはなりません。

この記事では指値とはどういう注文なのかを詳しく解説しているので、FXや株に興味がある人は、この機会にぜひちゃんと理解しておくことをおすすめします。

目次

指値とは「希望する売買価格を指定して、発注する方法」

指値注文とは簡単に説明すると「売買したい価格を指定しておけば、その価格に到達した時に自動で取引してくれる注文方法」です。

FXや株式、暗号資産を問わず、トレードをしている人なら「あの価格になったら買いたい」「この価格までいったら売りたい」と思う場面は幾度となくあるでしょう。

そのような場面で役に立つのが指値注文です。

金融商品の種類としては異なりますが、指値注文を使って取引ができるという点はFX、株式、暗号資産のトレードにおいて共通しています。

この記事では指値注文がどのようなもので、どんなメリットがあるのかを説明していきます。

指値注文を使ったことがないという人は、ぜひ参考にしてみてください。指値注文を使いこなせるようになれば、トレードの幅が広がるはずです。

まずはもっともシンプルな「成行注文」を理解する

「指値注文とは何か」を理解する前に、まずは「成行(なりゆき)注文」を理解するところから始めましょう。

成行注文とは、希望価格を指定せずに買い、もしくは売りを発注する注文方法です。

イメージとしては「時価で今すぐに買いたい」、「時価で今すぐに売りたい」と注文を出す形。時価で注文するため、基本的に発注時のレートに近い価格で約定(売買が成立)します。

成行注文は約定を最優先とする注文方法のため、約定しやすいという大きなメリットがあります。ですので、必ず買いたい時や必ず売りたい時に使います。

一方で、時価で注文するため、約定までにレートが動いてしまった場合、想定よりも高い価格で買ってしまった、想定よりも安い価格で売ってしまったということも。

成行注文は即座に発注でき、なおかつ約定スピードも早いため、エントリーでも決済でもよく使うポピュラーな注文方法の一つです。

成行より有利な価格で取引したい場合は「指値注文」

成行注文がどういうものか理解できれば、指値についてもわかりやすくなるはずです。

指値注文とは、「現時点よりも有利な価格を指定して買いや売りの注文を出す」方法。

FX取引で例えると、現在のレートが145円だとして「144円になったら(安くなったら)買います」「146円になったら(高くなったら)売ります」と事前に予約しておき、実際にその価格まで動いたら自動で約定されるイメージです。

エントリーはもちろん、決済でも役に立ちます。例えば、ドル/円を144円で保有していたとして、145円になったら売りたい場合は「145円で売りの指値注文」を出します。

株式の場合は、仮に900円の時に買った銘柄を1300円になったら売りたい場合は「1300円で売りの指値注文」を設定しておけば、レートが設定した価格まで動いた時に自動で決済してくれます。

また、指値注文は指定した価格にならないと約定しないという特徴があります。例えば、144円に設定した買いの指値注文なら144円以下に、146円に設定した売りの指値注文だと146円以上にならなければ注文は成立しません。そのため、基本的に指定した価格で取引が行われます。

エントリーや決済時に自分が理想とする価格で約定させたい時に効果を発揮してくれる注文方法です。

成行注文のメリット・デメリット

次に、成行注文と指値注文の違いについて、メリット・デメリットの観点から解説していきましょう。どちらもトレードにおける基本中の基本ともいえる注文方法なので、それぞれの特性についてしっかりと理解しておきましょう。

まずは、成行注文の方から解説します。

メリット:取引したいと思ったところですぐに売買が成立する

成行注文は取引の成立を最優先に考える注文方法です。そのため、取引が成立しやすく、約定するスピードも非常に速いというメリットがあります。

基本的に「必ず買いたい、必ず売りたい」という場面や「今すぐに買いたい、今すぐに売りたい」という場面で使います。

例えば、「決算発表で非常に良い結果が出たので、株価が伸びそうだから今のレートでいいから必ず買いたい」、「発表された経済指標が予想よりも非常に悪く、保有している通貨ペアが下落しているからすぐに売って損切りしたい」といった場面だと、早く確実に注文が成立する成行注文が適しています。

トレンドフォローや損切りなど、いち早く確実に売買を成立させたい場合において、非常に有効な注文方法です。

デメリット:注文を出した瞬間の値段で必ず約定するわけではない

成行注文の注意点は、必ずしも注文を出した時点の価格で売買が成立するとは限らないことです。

例えば、ドル/円の現在価格が145.00円だとします。145.00円で買いの成行注文を出したときに「約定はしたけれど、実際は145.05円で買っていた」ということがありがちです。この注文時の価格と実際に約定した価格の差をスリッページといいます。

スリッページは相場の値動きが大きい時に発生しやすく、特に要人発言や経済指標の発表時、戦争や天災が起きた時は値動きが激しくなるので、スリッページが発生するリスクが高まります。

FXでは注文時に許容できるスリッページ幅を設定できます。設定した許容値を超えた場合、注文は不成立になるので想定外の価格で約定することが少なくなります。一方で、許容できるスリッページ幅が狭いほど約定しにくくなるので注意しましょう。

なお、株式投資や暗号通貨の成行注文でもリアルタイムレートと実際の売買価格のズレは起こります。例えば株式だと「1000円で買いたいと買いの成行注文を出したら、1050円で買っていた」、「1000円で決済したいと1000円で売りの成行注文を出したら950円で売っていた」と、予想以上に高く買ったり、安く売れてしまうということもあります。

基本的に相場が大きく変動している時の成行注文は注文時と約定時の価格のズレが発生しやすいので注意しましょう。

スリッページが発生する理由
スリッページは注文から約定までのタイムラグによって発生します。FXのレートは常に変動しており、注文から約定までの非常に短い時間にレートが変わってしまうことがあります。注文時の価格から変わったレートで注文が約定してしまうので、価格のズレが生まれてしまうということです。

指値注文のメリット・デメリット

次に、指値注文についてのメリットとデメリットを解説します。

利益を出すための大きな武器にするためにも、どのような利点と欠点があるのかを把握しておきましょう。

メリット:今よりももっと有利な価格で取引できる

指値注文の最大のメリットは、自身で売買する価格を決められるということ。つまり、自分にとって好条件となる価格を指定して取引できるので、トレードにおいて有利になるということです。

例えば、現在のドル/円が145円だとして、「強い上昇トレンドが続いているから、一時的に下がる場面があってもすぐにまた上昇するはず。もし144円くらいまで下がるタイミングがあったら買いたい」と予想したとします。

そういうときは、144円で買いの指値注文を設定しておけば、価格が144円になったタイミングを逃さずに買えます。

決済でも有利になります。144円の買いポジションを持っていて「145円になったら確実に利確したい」なら、145円で売りの指値注文を入れておきましょう。145円まで上昇した時にしっかりと売って利益確定をしてくれます。

株式投資でも同じです。ある企業の現在の株価が1000円だとして、「過去のチャートを見ると、800円まで下がると反発しているから800円で買いたい」といった場合に800円で買いの指値注文を設定しておけば、800円到達時に自動で買ってくれます。

決済時も「1000円で買った株式を1200円になったら手仕舞いしたい」のであれば、1200円で売りの指値注文を設定しておけば、1200円になった時に自動で売ってくれます。

指値注文は設定した価格に到達したら自動で取引してくれるので、チャートやレートを見続ける必要がない点もメリットです。

例えば、株式投資は平日の9時〜15時(1時間の休憩は別)しか取引ができませんが、寄り付き前や休憩時間中に指値注文を設定しておけば、限られた時間内でもチャンスを逃すことなく取引が可能です。

FXや株式、暗号資産に関係なく、トレードでは指値注文を上手に活用することで、自分に有利な価格で取引できるようになります。

デメリット:トレンドに逆らった「逆張り」での取引になる可能性もある

指値注文は狙った価格帯での取引が可能になるというメリットがあります。一方で、基本的に「今よりも安くなったら買う」「今より高くなったら売る」という目的で使うことが多いため、逆張り的な取引になってしまう可能性に注意しておきましょう。

例えば、ドル/円のレートが145円だとして、「144円になったら反発する可能性が高い」と144円で買いの指値注文を入れて約定したとします。しかし相場に「絶対」というものはなく、下がったから必ず反発するという保証はありません。

もしも相場が下落トレンドに入っていた場合、144円よりも下落し、損失を抱えてしまうリスクがあります。

つまり指値注文での新規エントリーは、相場の流れに逆らった「逆張り」になる可能性もあるということです。

株式でも同じです。ある銘柄の現在値が1000円だとして、「直近の最安値である700円で買いたい」と700円で買いの指値注文を設定し約定したとしても、株価が700円よりも下落し、評価額がマイナスになる可能性もあります。

もちろん、トレードにおいて逆張りは絶対にダメというわけではありませんが、指値注文を行う場合は、想定とは異なった場合の損切りシナリオも考えておくとリスクを減らせるでしょう。

実際の相場での指値注文の使用例

ここからは指値注文を活用したエントリーと利確の例を実際のチャート画面を使って説明していきます。

新規の指値注文:レンジ相場の反転を狙ったエントリー

買いの指値でエントリーする事例です。

aaa三菱商事の株価チャート

三菱商事の株価チャートですが、四角の部分を見ると、3800円付近がサポートライン(下値支持線)になっているので、反発を狙って3800円で買いの指値注文を設定します。

また、4800円台から下落しているところでは、過去に3800円台がサポートラインとなっており、なおかつ直近の安値として意識される価格帯であると予想して、3800円に指値注文を設定する考えもあります。実際に3800円まで下がってきて3800円の指値注文が約定、そこから反転上昇しています。

次はドル/円チャートで売りの指値注文の事例です。

レジスタンスライン(上値抵抗線)

115.700円付近がレジスタンスライン(上値抵抗線)になっているので、そこに到達したら下落すると予想して、115.700円で売りの指値を設定しておきます。ヒゲが115.700円に達しているところで、売りの指値が約定しました。

過去の高値や安値、または切りが良い数字の価格帯などは注目されやすく、それらに合わせて指値を入れる人は多くいます。

決済の指値注文:利益確定

三菱商事の株価チャート

三菱商事の株価チャートの続きです。3800円で買いの指値が約定した後の利食いのポイントですが、仮に「フィボナッチ・リトレースメント」という描画ツールを参考にする場合だと、0.382%のラインである4200円で売りの指値(決済注文)を設定するといった考え方ができます。

または、「100円上昇したら決済したい」という場合は、3900円で売り指値を設定しておきます。株式の場合はホールドを続けることもできるので、直近高値の4800円に売り指値を設定するという考え方もあるでしょう。

いずれにせよ、含み益をどこで決済するかはトレーダーの自由。この利益確定の価格を設定するのが、指値注文というわけです。

ドル/円の指値による売りエントリー

こちらはドル/円の指値による売りエントリーの続きです。115.700円でエントリーしているので、短期トレーダーなら、10〜20pipsが利食いポイントだと考えて、115.600円や115.500円で売りの指値を設定しておくといった考え方ができるでしょう。

指値を使っての決済はさまざまなシナリオで活用できるので、ぜひ指値を利用してみてください。

指値を覚えたら、ぜひ「逆指値」もセットで覚えたい

この記事では指値注文について解説してきましたが、これだけでは不完全ともいえます。株やFXなどの投資には、「逆指値注文」というものもあり、これらは2つでセットのようなもの。逆指値を覚えておくと、トレードの幅がさらに広がります。

逆指値注文は文字通り、指値注文の反対の性質をもつ注文方法です。

簡単に説明すると、「指定した値段以上になれば買い」「指定した値段以下になれば売り」を自動で行ってくれるのが逆指値注文。

逆指値注文については「逆指値とは?指値とセットで必ず覚えたい、株やFXの基礎知識」で紹介していますので、併せてご覧ください。

使用方法の一例としては、損切りがあります。例えば、ドル/円を145円の時に買って、144円まで下がったら損切りしたい場合に、144円で売りの逆指値注文を入れておくと、そこまで価格が下がったら自動で決済してくれます。

株式の場合も同じです。1000円の時に保有した銘柄が700円まで下落したら損切りしたい場合に、700円の逆指値注文を設定しておくと、そこまで下がった時に自動で売却してくれます。

逆指値注文も株式やFX、仮想通貨などの取引で使えるので、ぜひ利用してみてください。

指値に関するまとめ

  • 指値注文は「現在よりも有利な価格になったら取引したい」という場合に使う
  • 新規取引でも、決済でも使える
  • ただし、指値での新規取引は逆張りになる場合もあるので注意
  • 指値について理解できたら、ぜひ逆指値についてもセットで覚えたい

大学卒業後、業界新聞社2社を経験。業界紙記者の過酷さ、ライティングや取材の楽しさ、そして斜陽産業の先行きの暗さを学ぶ。

その後、投資関係のコンテンツに携わって投資スキルを高めようと決意し、FXの専門誌「FX攻略.com」の編集者としてFX業界に潜り込む。

FX攻略.com』の休刊後、勤め人からフリーライターに転身。

現在はFX系の雑誌『外国為替』を中心に、投資関連の記事・執筆に従事中。

鹿内武蔵

FX雑誌『外国為替』編集長・株式会社tcl代表取締役

鹿内武蔵

2022年創刊のFX雑誌『外国為替』編集長。

FX編集者歴は長く、2008年より『FX攻略.com』元副編集長として、取材・編集・執筆に携わる。多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に、FX、投資ライターとして活動中。

株式会社tcl代表として各種メディアで執筆しているほか、自身もトレーダーとしてFXの運用も行っている。好きなテクニカル分析はボリンジャーバンド。

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記事の編集責任者

齋藤直人

FINANCIAL JOURNAL編集長

齋藤直人

編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。

雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。

FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips

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