FXにおける失敗とは?初心者の誤解と失敗パターンの例と対策を解説
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FXは、資金を増やすために行う投資の一種です。
その思惑どおりにお金が増えないことは失敗といえますが、おそらく多くの人が想像する失敗とは、それよりも深刻な状況でしょう。
「全資金を失うのではないか」
「大損をするあまりに借金をしてしまうのではないか」
といったイメージもあると思いますが、これらは誤解です。
FXで失敗したからといって誰もが借金を背負うわけではありませんし、そもそも失敗を回避する有効な方法がすでに確立しています。
FXの失敗に不安を感じる人に向けて、FX経験者が実際に体験したトレードの失敗談や教訓を交えつつ解説します。
目次
FXで失敗=借金ではない
FXは基本的には口座に預け入れた証拠金以上の損失は発生しない仕組みが備わっています。
基本的には、借金(証拠金以上の損失)は発生しない仕組み
FX会社には投資家の資産を守るための強制ロスカットという制度があり、含み損が一定の水準に達したときに証拠金が残る状態でポジションが強制的に決済されるからです。
ただし、非常にレアなケースとして、為替相場を大混乱に陥らせるような急変動が起きた場合はロスカットが間に合わず、証拠金以上のマイナスになる可能性もありますので、レバレッジを活用した大口取引を実施している場合には注意が必要です。
万が一証拠金以上のマイナスが発生した場合に備え、常日頃から損失額のイメージを持っておくのが良いでしょう。
損失額はそのときに取引していたロット(Lot)数によって異なる
例えば10円幅という大きな変動による損失を被っても、
- 1,000通貨の取引→1万円の損失
- 1万通貨の取引→10万円の損失
- 10万通貨の取引→100万円の損失
となります。
ネット・SNSでよく見る「数百万円規模」の損失は実際にありえる?
ネット上やSNSなどにある大損エピソードを見ると
「数百万円を失った」
「数千万円を溶かした」
といった文言が目に入ります。
結論からいえば「数百万円規模の損失」は、事実としてはあり得るものの「そもそも投入している資金も大きい場合」というのが大前提です。
例えば、10万円のような少額でFXをやっていた場合、1回の負けトレードによって数百万円の損失を被ることはあり得ません。
上の見出しでも解説しているとおり、FXの損失額は取引量に比例するからです。
10万円の資金なら、損失額は数万円
10万円の資金では、レバレッジをフルに効かせたとしても取引できるのは最大で1万6,000通貨ほど(1ドル151円の場合)。
このときに1円の値動きがあった場合の損失額は1万6,000円です。
そもそもFXには強制ロスカットの仕組みがあるので、1円も逆行する前に損切りが行われます。
つまり「数百万円の損失」を出したということは、そもそも資金も大きいわけです。
もちろん「借金でFXをやっている場合」であれば、数百万円のお金を失う可能性はあるでしょう。
しかし借金で投資をするというのは、借金をギャンブルにつぎ込むのと同様で論外でしょう。
海外FX業者の利用はFXの失敗あるある
これらとは別次元のリスクとして、海外FX業者を利用してしまったというパターンもあります。
国内に拠点がなく金融庁への登録をしていない海外のFX業者は日本の法律の適用を受けないため、千倍近いレバレッジをかけられることなどのメリットを謳っています。
しかしながら日本の法律が及ばないのをいいことに出金に応じなかったり、業者そのものが経営破綻して資金が戻ってこない事例もあります。
こうした業者を利用するとトレードの失敗とは別の理由で数百万円の資金を失う可能性は大いにあるでしょう。
FX会社選びも失敗を防ぐ重要なポイント
日本の金融庁に登録されたFX会社には信託保全という投資家を守る制度が導入されており、万が一FX会社が破産・倒産しても、口座に預け入れた証拠金は投資家に返還される仕組みとなっています。
ただ、これは国内のFX会社に限った話で、海外のFX会社には信託保全が義務づけられておらず、破産・倒産してもお金が戻ってこない危険性があります。
失敗したくなければ、海外FXには手を出さない方がよいでしょう。
FXにおける最大の失敗とは
FX取引を含め、投資では失敗する人の方が多いといわれています。
しかし、そもそもFXにおける失敗とは何を指すのでしょうか。まずは「失敗」の定義を考えてみましょう。
トレードを続けられなくなることがFXにおける失敗
FXでの最大の失敗は、「相場からの退場」だといえます。
相場からの退場とは、投資資金が底をついてしまい、トレードができなくなる状態を指します。こうなると挽回しようがありません。
しかし、小さな負けトレードであれば、まだリカバリーの可能性があります。
負けトレードをすること自体は何ら失敗ではなく、どんなに成功しているトレーダーも、実は勝ったり負けたりの繰り返しなのです。
損失を抑えて大きく利益をとる損小利大
FXを始めるうえで、損失を小さく抑えて利益をしっかりとる「損小利大」という考え方をもつことが非常に大切です。
できるだけ退場しないようにFXを続ける工夫は、初心者にも実践可能です。
簡単なルールを徹底することで、大きな損失による一発退場のようなケースを避ける可能性を上げることができるでしょう。
FXにおけるリスクは2パターン
FXに伴うリスクは、おもに為替変動リスクと金利変動リスクの2つです。まずはこれらのリスクをきちんと理解しておきましょう。
為替の値動きによる損失
FXは2国間の通貨を売買した際に発生する為替差益を狙う商品ですが、投資である以上、確実に利益を得られるとは限りません。
為替レートは常に上下に動いており、自分の思惑とは反対の方向に変動すると、為替差損が発生するリスクがあります。
例えば、米ドル円を1ドル140円のときに1万通貨買ったとします。
その後、レートが変動して1ドル139円まで下落したときに売った場合の為替差損は1万円になります。
為替差損の例
1ドル140円のときに1万通貨買って139円まで下落した場合
1万通貨×(140円-139円)=1万円の損失
スワップポイントの支払いによる損失
FX取引では2カ国間の金利差を調整した「スワップポイント」という仕組みがあり、ポジションをもったまま日をまたぐと損益が発生します。
- 高金利通貨を買って低金利通貨を売った場合:スワップポイントの受け取り
- 高金利通貨を売って低金利通貨を買った場合:スワップポイントの支払い
スワップポイントの水準は各通貨の金利に連動しますが、金利は各国の金融政策や景気などにより日々変動します。
場合によっては受け取りと支払いの方向が逆転したり、買いも売りもどちらも支払いになったり、支払いのポイントが大きく増加したりするリスクがあります。
経験の蓄積、技術の向上により、続けるほど成功確率は高まる
何事においても、短期間で成功することは極めてまれです。FXでもそれは同じで、ある程度続けていかないと成功するのは難しく、途中で諦めずにコツコツとトレードを続けることが大切です。
長く取り組むことでさまざまな相場の状況を経験することに伴ってわかったり見えてきたりする部分もあります。例えばコロナ相場のような非常事態は、実際に体験してみないとわからないものです。
続ければ続けるほど経験や知識は蓄積されていき、トレード技術も向上していくので、成功する確率は高まります。もちろん、継続的にトレード方法を探求し続ける姿勢をもち続けることも重要です。
「失敗は成功の母」という格言は、FXにも当てはまります。
トレードの失敗を教訓として次のトレードにいかし、新たな課題が見つかったらそれを修正していくことによってトレードの技術は向上し、運用成績が上向いていくというのがFX上達の道です。
事実、数々の失敗を経てから数千万円、数億円といった資産を築いた投資家も多数います。
FXで失敗する確率が4割って本当?3,000人のトレーダーに実績を聞いてみた
2018年の「一般社団法人金融先物取引業協会」の調査によると失敗率は4割
FXでどの程度の人が失敗しているのかを伝える記事やコンテンツなどでよく見かけるのが、「4割」という数字です。
根拠となっているデータのひとつに、一般社団法人金融先物取引業協会が発表しているFX関連のレポートがあります。
引用元:外国為替証拠金取引の取引顧客における 金融リテラシーに関する実態調査 ~調査結果報告書
そこには1,000人を対象に調査をした結果、年に1回以上ロスカットを経験している人が47.6%に及んでいるとの結果が記されています。
FXをやっている人の中で4割以上の人が年に1回はロスカットという失敗を経験していることが分かりますが、これをそのまま失敗と定義していいのかは疑問が残ります。
ロスカットを経験しているとはいえ、年間を通じて負けているとは限りませんし、同調査では逆に年間で20万円までの利益を出している人が35.6%いるとも述べられています。
このデータ通りに、FXの世界では本当に4割の人が失敗しているのでしょうか。
3,000人のトレーダーへの調査結果は失敗率は「36.2%」
編集部ではかつて、現役トレーダー3,000人にアンケートを行ったことがあります。
このアンケートではさまざまな質問に回答してもらったのですが、質問の一つに「FXを始めてからトータルの損益」がありました。
トータルの損益がマイナスと回答した人は36.2%で、約4割という結果です。
調査結果PDF:FXトレーダー3,000人調査結果
失敗の定義はいろいろあるものの、やはりFXで失敗する人は約4割程度いると考えていいのではないでしょうか。
もちろん、これは決して「低い数値」とは言えません。
少なくとも、この記事を読んでいる皆さんは4割の中に入らないように、傾向と対策をしっかり知っておきましょう。
編集部が実際に体験したFXの失敗談10パターン
ここからは、FXのトレードにおいてどのように失敗したか、具体例を紹介していきます。
以下に紹介するものはすべて編集部スタッフの実体験ですが、実は失敗パターンというのは多くの人に共通しています。
これらの失敗談を知り、こうならないように意識するだけでも相当なリスク低減になるはずです。
つまり、以下の失敗談はFX攻略の重大情報になるわけで、ぜひとも読んでおくことをおすすめします。
編集部が実際に体験したFXの失敗パターン集
- リベンジトレードでさらに傷口を広げる
- 「ポジポジ病」で負けを繰り返す
- 損切りをためらって大損失
- 自分に見合わないLot数(ハイレバ)でのトレード
- 他人の分析を鵜呑みにしてトレード
- 大負けして意欲が減退
- 熱くなって負け続け
- 買い下がりという名の果てしないナンピン
- 山勘トレード
- ずさんな資金管理の末路
リベンジトレードでさらに傷口を広げる
FINANCE JOURNAL編集長:齋藤
FXというのは「勝ったり負けたりを繰り返しながら、トータル的に損益をプラスに持っていくもの」です。
しかし初心者の頃は、これが理解できないのですよね…。
理屈ではわかっているのに心情的には納得できず、負けトレードをすると「次で取り返す」「取り返すまではやめられない」という気持ちになってしまうのです。
こういった復讐心からトレードすることを俗に「リベンジトレード」といい、典型的な失敗パターンです。復讐心に燃えているから、チャンスや根拠がなくても見境なしにエントリーすることになり、結果的に傷口を広げることになります。
失敗から得た教訓
場数を踏んで慣れるしかない部分もあるかもしれませんが、「FXにおいて損切りは当たり前」という部分をしっかり理解する必要がありますね。
「ポジポジ病」で負けを繰り返す
FINANCE JOURNAL編集長:齋藤
「ポジポジ病」というのは「常にポジションを持っていないと不安な状態」のことです。
ポジションを持っていない状態でチャートを見ると「儲ける機会を逃している」と感じてしまい、エントリーし続けてしまうわけです。
多くのトレーダーが経験する症状なのですが、僕もこの症状から抜け出すのに苦労しました。
ポジションを持っていないと「あそこでエントリーしておけば今ごろはこんなに含み益が出ていたのに」と後悔し、ノーポジションの状態が損だと思ってしまうのですよね。
必然的に、難しい相場や自分にとって不得意な相場でも見境なしにエントリーすることになり、どんどん負けトレードが増えていくことになります。
失敗から得た教訓
ポジポジ病はかなりFX歴の長い人でも抜け出せない人がいるので、本腰を入れて治療していかなければならないものだと思います。
損切りをためらって大損失
FINANCE JOURNAL編集長:齋藤
FXや株の基礎知識を解説する本やコンテンツを見ると、ほぼすべての有識者が「損切りの重要性」を説いていますよね。
エントリーする時点で必ず損切りは入れておき、そこに到達してしまったら必ず執行しなさい、と。
僕もこれを知識として知ってはいたのですが、初心者のころは損失を確定させるのがどうしても嫌で、損切りラインをズラしたりしていました。ほぼすべての有識者が「やってはいけない」としている行為です。
損切りラインをズラす行為の最悪なところは「助かることもある」ことです。一時的に大きな含み損を抱えて我慢していると、また相場が戻ってきて含み損を消し、含み益に転じることもあります。
これを経験すると「自分は間違ってなかった」と思うようになり、常に損切りラインをズラすようになってしまうのです。
その結果、助からない相場がやってきて、大きな損失を被ることになってしまいました。
失敗から得た教訓
いずれ必ず「助からない相場」がやってくるんですよね…。そうなったときに大損失を被ることになるので、やはり基本は忠実に守らなくてはダメだと思います。
自分に見合わないLot数(ハイレバ)でのトレード
FINANCE JOURNAL編集長:齋藤
トレーダーとしてある程度経験を積み、少しずつ資金を増やせるようになってくると「ちょっとLot数を増やしてみようかな」と思うようになります。
それまで1Lotだったものを2Lotにすると、当然ながら2倍の勢いで含み益が増えていくようになります。
この興奮にとりつかれてしまうと、3Lot、4Lotと取引量が増え、ハイレバ状態での取引が日常的になってしまうのです。
ハイレバ状態で負けると資金を大きく減らすことになり、メンタルもやられ、結果的にその他の失敗パターン(リベンジトレード、ポジポジ病、損切りズラし等)にもつながります。まさに悪循環、負の連鎖ですね。
失敗から得た教訓
資金が増えていったら取引量を増やすというのはいいのですが、あくまでも「平常心でいられるLot数」である必要があります。
メンタルがやられるような量で取引してはいけないと思い知るまで、ずいぶん多くの勉強代を支払うことになりました。
他人の分析を鵜呑みにしてトレード
FINANCE JOURNAL編集長:齋藤
僕はとあるFX有識者の発信している相場分析を常にチェックしているのですが、あるときにその人がさらっと語った相場予測を何も考えず鵜呑みし、トレードしたことがありました。
結果的にその予測は外れてしまい、大きな損失になってしまったのですが…。ここで僕の何が悪かったのかというと「自分で考えなかったこと」です。
その有識者の方は、基本的にとても分析が上手で、知識も経験も豊富で現在でも尊敬しています。
しかし、どんなプロトレーダーだって相場を読み違えることはあるわけですから「誰かの情報を鵜呑みにする」というのが一番いけません。
失敗から得た教訓
あくまでも情報は情報として受け取り、自分で分析し、判断をすることが大切です。
誰かの言っていたことを鵜呑みにしたトレードを繰り返していては初心者を卒業できませんし、トレーダーとしての成功もないと思っています。
大負けして意欲が減退
FINANCE JOURNAL監修者:鹿内武蔵氏
2020年3月9日に発生した、いわゆるコロナショック時、とあるFX会社の自動売買環境で構築していた豪ドルNZドルの両建てリピート系自動売買が、いとも簡単に強制ロスカットになりました。
このときに失ったのは20万円強で、今にして思えば金額的に致命傷とまではいきません。
しかし、安易な逆張り設定を仕掛けた直後、あっという間に口座が崩壊してしまって、すっかり萎えてしまいました。
結果として、このあと発生する円絡み通貨ペアのV字回復、FXではありませんがコロナショック後の歴史的な株高相場など、大きなチャンスに参加する気力を持てませんでした。
失敗から得た教訓
私は常々、FXなどの投資から撤退する要因は資金減少そのものではなく、大負けによる意欲の減退、いわゆる萎えヤメだと思っています。
一時的に資金がなくなっても、気合いが入っていれば再度エントリーできますし、勉強も続けられます。
精神的にショックを受けない負け方になるよう、十分に資金計画を練ってからトレードをしようという教訓でした。
熱くなって負け続け
FINANCE JOURNAL執筆者:上岸誠太郎氏
2週間で4倍に増やした資金を1日で溶かしたことがあります。
あれは2020年の3月、米ドル/円がコロナショックによる下落から反転しそうな頃。ちょうどその時期にノックアウトオプションに出会い、10万円の資金で試してみようと思ったところでもありました。
ひたすらスキャルピングやデイトレードで取引を繰り返して、2週間で口座資金を40万円まで増やせたところまでは良かったんです。2〜3万通貨で取引を始めて徐々にロットを増やしていき、その頃には10万通貨で取引していました。
FXよりも少ない証拠金で取引できるというノックアウトオプションのメリットを享受できていたのですが、コロナショックによる下落が全戻しになりそうな頃合いになると相場の様子が一転し、急に勝てなくなってしまいました。
いま振り返ると、連敗したタイミングでトレードを休めばよかっただけなのですが、当時はそれができませんでした(今もあんまりできません)。
1回のトレードで15万円ほど損切りしたあとの記憶はほとんどなく、ロットを減らさずにトレードしては負け続け、気がつけば積み上げてきた30万円を1日で失ってしまいました。
失敗から得た教訓
このような失敗は二度とごめんと数日後に自己分析したのですが、失った金額の大小というより、ルールを無視した不甲斐ない負けトレードの直後が最もアツくなりやすく危ないのかなと。
それに気づいてからは「なんでこんなクソみたいなトレードをしてしまったんだ」と怒り、悲しみの感情が湧き出たときは、すぐにFXから離れるようにしています。
逃避先はスーパー銭湯がおすすめです。
買い下がりという名の果てしないナンピン
FINANCE JOURNAL執筆者:田中タスク氏
買いポジションを保有している時に下落が進むと含み損が拡大するので、不安が大きくなります。
そこでナンピン買いを入れたものの、そのナンピンには不安ゆえのもので特に戦略があるわけではなく、さらに相場が下落するとナンピンを繰り返すことになります。
表面上は「買い下がり戦略」と言っていても、戦略のないナンピン買いに他なりません。
かくしてどこまで下げるか分からない下落相場でナンピン買いを繰り返した結果、証拠金不足となりロスカットというのは、典型的なナンピンの失敗パターンとなりました。
失敗から得た教訓
ナンピンはあくまでも戦略に基づいたものであれば有効ですが、苦し紛れに無計画なナンピンを入れるのはさらに傷口を広げる可能性大です。
「下手なナンピンすかんぴん」という相場格言もあるように、無計画なナンピンは大損、大失敗につながるリスクを高めると認識して、適切な損切りを心がけましょう。
山勘トレード
FINANCE JOURNAL執筆者:田中タスク氏
ファンダメンタルズもしくはテクニカルのどちらにも根拠のないトレードを、山勘トレードといいます。
「今から上がりそうだ」「ここで反落して下落が進む」といった予測を立てるのはいいのですが、そこに根拠がなければ山勘や運任せの域を出ません。
山勘や運任せにできるほどFXは甘いものではなく、50%…いえ、もっと高い確率で相場は逆行します。
仮に残り50%の確率で山勘通りになったとしても、利益確定の戦略までも山勘だと適切な利益確定もできなくなってしまい、利小損大になってしまっていました。
失敗から得た教訓
山勘だけでトレードをするのは、ギャンブルと大差のない行動です。
FXは戦略に基づいた取引ができる投資であり、運任せで勝てるものではありません。
ファンダメンタルズとテクニカルの両面から相場を分析し、過去の経験も踏まえながら確度の高いトレードをするのが基本です。
そのトレードの成否にかかわらず、結果を検証して次につなげていくことでトレード技術を向上していくのが成功への王道です。
ずさんな資金管理の末路
FINANCE JOURNAL執筆者:田中タスク氏
資金管理が大切であるということは、FX初心者向けのどんな書籍や記事でも述べられています。
適切な資金管理はロスカットのリスクを遠ざけてくれるので、特にポジションを長期保有するようなトレードをする場合には、より重要になります。
スワップポイント狙いで、例えば高金利通貨のポジションを長期保有する場合は、思わぬ下落に注意が必要です。
資金管理をやっておかなかったばかりに、日本時間の真夜中に起きた思わぬ下落に耐えられず、朝起きたらFX会社からのロスカット通知メールだけを拝むことになってしまいました。
失敗から得た教訓
ロスカットシミュレーションをした上でどこまで下落する可能性があるか、そのためにはどれだけの証拠金が必要なのかを計算した上で口座に資金を入れておくことが適切な資金管理です。
取引を始める前の段階で対策を立てておくことが肝要です。
FX初心者が相場から退場するよくあるパターンと対策
FXで相場から退場せざるをえなくなったトレーダーには共通点がいくつかあります。ここでは、 よくある退場パターンとその対策方法を紹介します。
含み損を「塩漬け」にして最終的に巨額の損切り
これはポジションを塩漬けにしてしまい、最終的に損失が大きく膨らんだ状態で損切りするパターンです。
塩漬けとは、含み損を抱えながらポジションをもち続けることですが、これには大きなリスクがあるため好ましくありません。
いつか相場が戻ると思ってポジションをもち続けた結果、ズルズルとマイナス方向に進み、強制ロスカットに…なんてケースも少なくありません。
対策方法
参考:みんなのFX「FX取引の損切りの仕方と注意点|適切なタイミングはいつ?」より
塩漬けによる巨額の損切りを防ぐには、計画的でこまめな損切りを実行することが大切です。
負けを受け入れるのはつらく、損切りしたくてもなかなか踏ん切りがつかないものですが、小さな負けを受け入れることは非常に重要です。傷口が広がる前に負けを受け入れることにより、大きな損失を未然に防ぐことができます。
ハイレバレッジのトレードで大負けする
一度にドカンと大きく負けてしまう、初心者に多く見られるパターンです。
レバレッジは有効に使えばより大きな利益を追求できますが、その反面、いたずらに高く設定(大きなロット数でトレード)すると、それだけリスクが高まります。
大きなリターンを期待して、ついつい大きめのロット数でトレードしてしまいがちですが、無理にハイレバレッジでFX取引を行うと一発退場となる可能性が高くなるので注意が必要です。
対策
例えば、1回の損失を総資金の3%に抑えるようにすれば、30連敗しても理論上、証拠金はゼロになりません※。
また、気軽にハイレバレッジでの取引が可能な海外FXには手を出さないことも大切ですし、そもそも取引に慣れるまではレバレッジはなしか低めに抑えておきましょう。
※自己資金が10万円のとき3%にあたる3000円のリスクをとり、30連敗しても損失は9万円
利小損大のトレードを繰り返して資金が減り続ける
利小損大とは、勝ちトレードの利益は小さく、負けトレードの損失が大きいトレードを意味します。
つまり、コツコツと積み上げた利益が一度の損失でドカンと消えるような状態。FXトレーダーはこれを「コツコツドカン」などと呼びます。
利小損大のトレードを繰り返し続けていると、よほど高い勝率でなければ資産は目減りしていき、いずれ相場から退場することになってしまいます。
対策方法
損失を小さく抑えて利益を大きく取る損小利大のトレードに切り替えることです。
例えば、毎回のトレードの利益確定を+20pips、損切りを-10pipsに設定すれば、必ず損小利大の状態となり、仮に勝率が5割でもトータルの収益はプラスになります。
負けトレードで心が折れたり、損を取り戻そうと熱くなる
負けが続いたり、一度の取引で多くの損失を出したりすると、心が折れてFXを途中で諦めてしまう人も少なくありません。
また、負けた分を取り戻そうとして熱くなったり、無理にロット数を増やしたりしてさらにハイペースで資金を減らしてしまうのもよくあるパターン。
相場で生き残るにはメンタルの安定も必要です。
対策方法
取引ロットを小さくすることで対策を取りましょう。ロットが小さければ、たとえ負けてもメンタルへの影響は限定されます。
まずは小ロットで取引を開始し、メンタルを鍛えつつ、少しずつロットを増額し、自分自身の居心地の良いロットを模索しましょう。
トルコリラ/円のポジショントレードは深刻な結果に
高金利通貨として知られるトルコリラ。
日本でもトルコリラ/円の高スワップポイントを狙って買いポジションを長期保有する手法が人気を集めていましたが、トルコリラは長期にわたって下落トレンドが続いています。
かつては100円近く合ったスワップポイントも今では30円台となり(2024年3月時点)、何よりもトルコリラ/円自体が大きく下落しています。
スワップポイントがどれだけ高くても、100円近かったトルコリラ/円のレートが25分の1にまで下落してしまうと、スワップポイント狙いで大きなポジションを保有していた投資家は大損もしくはロスカットを余儀なくされました。
ナンピン癖がある投資家の末路
適切な損切りができずナンピンを入れたものの相場の逆行は止まらず、大損につながってしまうのもよくある失敗パターンです。
1回目の逆行で失敗を認めて損切りをすれば最小限の損失で済んだはずですが、それができない人間心理の弱さが災いする失敗パターンです。
握力が強い(一度保有したポジションを手放さない)ことが優秀なトレードではありません。むしろ、失敗を早々に認めて撤退する勇気を発揮する方がFXの世界で生き残る資質だと思います。
ついついナンピンをしてしまう癖のある人は、くれぐれも注意しましょう。
新興国の脆弱な政治・経済を侮ってはいけない
新興国は政治や経済にまだまだ脆弱な部分があるため、新興国の通貨にも特有のリスクがあります。
すでに解説したトルコリラ/円の長期的な下落もそのひとつで、他の新興国通貨であっても今はレートが安定していたとしてもそれが将来も同じとは限りません。
政情不安や地政学リスクによる通貨の暴落は幾度もあったため、たとえ高金利でレートが安く買いやすいといっても、新興国の脆弱性を認識した上で低レバレッジ運用をしなければ、思わぬロスカットのリスクに直面することになります。
注文ミスが致命傷になることもある
FXには多彩な注文方法がありますが、それゆえに注文ミスが起きやすいことがリスクになります。
指値と逆指値を間違えると買いと売りが逆の注文になってしまいますし、指値を入れたレートが間違っていると思っていた通りの利益確定ができなかったり、利益確定のチャンスを逃してしまうこともあります。
特に損切りに関連する注文は、ミスによって正しく損切りができないと致命傷になってしまうこともあるので、注文を入れる時だけでなく、注文が入った後も正しく入っているかを確認するようにしましょう。
売買ルールと損切りは生き残りに必須
相場で生き残るには、売買ルールの構築と損切りが欠かせません。ここでは、すべてのトレーダーに共通する「FXの基本的なルール」について解説します。
勘に頼った行き当たりばったりのトレードは長続きしない!
FXはギャンブルではなく、れっきとした投資です。何の根拠もなく、勘に頼った行き当たりばったりのトレードではまず長続きしません。
最初はまぐれで勝てたとしても、そのうち勝てなくなり、損失が膨らんでしまうでしょう。
FXを長く続けていくうえで大切なのは、自分のスタイルにあったルールをつくることです。
勝率が高いトレーダーの大半が明確なトレードルールを構築しているのに対し、勝率が低いトレーダーは明確なトレードルールをもたないまま取引しているケースが多いです。
最低でもエントリー、損切り、利益確定に関するルールはしっかりと定めておく必要があるといえます。
損切りができないと生き残れない!
プロトレーダーでも経済学者でも、相場を完璧に予測することはできません。相場をコントロールすることもできません。
しかし、FXのトレードには唯一、自分の意志でコントロールできる要素があります。それが「損切り」です。「ここまで逆行したら損切りする」という位置は、自分の意志によって設定できます。
FXでは大切な資産をいかに守るかが重要で、そのためには損切りが必須です。
損切りは損失の拡大防止だけでなく、新しいトレードの機会を得られるというメリットもあります。
損切りをせずに含み損を抱えているのは、ただ結果を先送りしているだけに過ぎず、トレードの機会を喪失している状態ともいえるからです。
そのようなポジションには早めに見切りをつけて損切りすれば、また新たなトレードをすることが可能です。
日々の勝ち負けは気にせず、年間損益プラスを目指す
FXでは長い期間の総合損益が大事なので、毎回のトレードの勝ち負けはそれほど気にしすぎる必要はありません。
たとえ連敗が続く悪い時期があっても、それは一時的なものであると捉えると気が楽になります。年間トータルくらいの長いスパンで見るようにしましょう。
毎回のトレードに『スポーツ大会のトーナメント戦』のようなメンタルで臨んでしまうと、負けたくないという気持ちが強く出すぎてしまい、その結果として浅い利食いや損切りの遅れを招く可能性があります。
プロトレーダーですら勝ったり負けたりの連続なのですから、負けるときもあるのは当たり前だということをきちんと理解したうえで淡々とトレードを繰り返すことが大切です。
勝率を重視しすぎるのは危険
トレードを始めたばかりの方は勝率を追い求めてしまいがちですが、FXのトレード成績は常に勝率と「リスクリワードレシオ」をセットで判断する必要があります。
リスクリワードレシオとは
平均利益額÷平均損失額。
利益が出た勝ちトレードの平均利益額と、損失が出た負けトレードの平均損失額の比率のことを指します。
勝ちトレードの平均利益額と負けトレードの平均損失額が等しければリスクリワードレシオは1となり、その数値が大きいほど勝ちトレードの利益が大きい状態を、小さいほど負けトレードの損失が大きい状態を示します。
FXの損益は、このリスクリワードレシオと勝率で決まり、勝率が少々低くてもリスクリワードレシオが高ければ利益を上げることが可能です。
反対に、勝率が高くてもリスクリワードレシオが低すぎると利益を上げることができません。
例えば、勝率が33%でもリスクリワードレシオが3あれば利益が出ますが、勝率が77%と高くてもリスクリワードレシオが0.3を下回れば損失が出ることになります。
リスクリワードレシオと勝率は相反する関係にあり、勝率を上げようとするとリスクリワードレシオは下がり、リスクリワードレシオを上げようとすると勝率は下がります。
勝率を重視しすぎると、リスクリワードレシオがおろそかになるので注意が必要です。
極端な話ですが、100回のトレード中、99回で1万円ずつ勝ったとしても、残りの1回で100万円の損失を出してしまうと、勝率99%でもトータルでは損失となります。
勝率を高めるのは良いことですが、それと同じくらいリスクリワードレシオも重要です。
たとえ勝率が低くても、それをカバーできるリスクリワードレシオを実現できていれば問題はありません。両者のバランスを意識したトレードを心がけましょう。
記事の編集責任者
FINANCIAL JOURNAL編集長
齋藤直人
編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips
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