FXのpipsとは?をわかりやすく解説!通貨の共通単位として使われる理由や、計算方法も紹介
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FXでは、値動きの幅を表す単位として「pips」が使われます。
「なぜそんな単位が使われるの?」
「それを使うメリットって何?」
初心者なら誰しも感じる疑問を、この機会にすべて解決しておきましょう。
この記事ではpipsの基礎知識や、実際に使う例などを総合的にわかりやすく解説します。
目次
pipsとは為替相場の「値幅」を表すときに使われる単位
pipsとは、pipの複数形で、FXにおける通貨の値幅を表す共通単位として使用されます。1pipが通貨の最小単位となります。
pipsとは
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ちなみに、pipsはpercentage in pointの略で「ピップ」と読みます。pipsの読み方は「ピップス」です。
例えば、米ドル/円が1ドル130円から1ドル131円に上昇したとします。一般的には「米ドル/円が1円上昇した」と表現しますが、FXだと「米ドル/円が100pips上昇した」と表現される場合があります。
ユーロ/米ドルでも1ユーロ=1.0000ドルから1ユーロ=1.0100ドルに上昇した場合は、「ユーロ/米ドルが100pips上昇した」と表現されます。
このように、FXの世界ではどのくらい価格が動いたのか、どのくらいの利益を獲得したのかを示す場合、ドルや円、ユーロなどの単位ではなくpipsが使われることが多いのです。FX業界では「pipsを知らないFXトレーダーはほとんどいない」と言っても過言ではないほど重要なワードといっていいでしょう。
はじめのうちは「1pips動いた」「1pipsの利益を稼いだ」と聞いてもイメージしにくいと思いますが、pipsはFXにおいて非常によく使われる単語なので、しっかりと覚えておきましょう。
なぜpipsが使われるのか?実はFXをやるうえで便利&必須の概念
日常生活においてpipsという単語を使う、もしくは聞く機会はほぼないでしょう。
しかし、FXの世界においては当たり前のように使われるワードです。スプレッドはもちろん、注文時に円やドルではなくpipsで設定を行わなければいけないケースがあります。
また、FXに慣れたトレーダーはみな、獲得利益や通貨の値動きをpipsで表現するようになります。そのためpipsの意味や使い方を知らないままFXを始めてしまうと、困る場面も出てきます。
初心者は誰しも「なぜpipsが使われているのか?」と疑問を感じると思いますが、その理由を解説していきましょう。
①為替市場ではさまざまな通貨ペアが取引されているため
FXでは米ドルや円、ユーロ、メキシコペソやトルコリラなどのさまざまな通貨が取引されており、各通貨の単位にあわせて表現すると非常にややこしくなります。
例えば、日本人にとっては「米ドル/円が1円上昇した」という表現は身近ですし、どのくらいの変動幅なのかイメージしやすいでしょう。しかし、「ユーロ/米ドルが1ドル下落した」、「ユーロ/ポンドが1ポンド上昇した」と言われた場合はどうでしょうか。
おそらく、日常的にユーロやポンドを取引しているような人でないと、どのくらい変動したのか分かりにくいのではないでしょうか。
通貨ごとの単位で値幅を表すと、その通貨に慣れていない人が変動幅をイメージしにくいというデメリットがあります。
そのため、FXを取引する人が分かりやすいようにpipsが共通単位として使われるようになりました。
例えば、「米ドル/円が100pips上昇した」、「ユーロ/米ドルが100pips下落した」と表現すると、どの国の人でもどのくらい価格が変動したのかイメージしやすいです。
pipsを理解すると円が絡まない通貨ペアも取引しやすくなるので、覚えておきましょう。
②損益額よりも値幅の方がトレード内容がわかりやすいため
pipsはトレードの結果を表す際にもよく使われます。
FXでは利益を獲得した場合「1,000円獲得した」と表現されることも多いですが、その場合は「どのくらいの取引数量で、どのくらいの値幅を取ったのか?」という取引の全容が分かりません。
例えば、1,000通貨のトレードで1,000円を獲得したAさんと、1万通貨のトレードで1,000円を獲得したBさんとでは、利益は同じでも投資効率が大きく異なります。獲得利益で表現すると、投資効率が良いのか悪いのかが判断しにくいというデメリットがあるわけです。
これをpipsで表現するとどのくらいの値幅を取ったのかが分かりやすくなります。
- ・Aさんは1,000通貨のトレードで100pipsを獲得した
- ・Bさんは1万通貨のトレードで10pips獲得した
この場合、Aさんの方が少ない投資資金で多くのpipsを獲得しているので、Bさんよりも投資効率が良いということです。
このように、獲得pipsを見ると投資効率が良いのか悪いのかを判断することもできます。そのため、「どのくらい儲けたのか」よりも「どのくらいのpipsを獲得したのか」に注目しているFXトレーダーは多いのです。
獲得(損失)pipsと実際の損益額を計算する方法
ここからは実際にpipsを使った損益額の計算方法について解説していきます。
注意する必要があるのが、1pipの基準が「通貨ペアによって異なる」という点。
米ドル/円やユーロ/円のような対円通貨ペアの場合は「1pip=0.01円」で計算されますが、ユーロ/米ドルやポンド/米ドルのような対ドルの通貨ペアでは「1pip=0.0001ドル」で計算されます。
ゼロがたくさん並ぶため初心者は難しく感じるかもしれませんが、どうやって損益を計算するのか、それぞれ説明していきましょう。
ドル円など日本円が絡んだ通貨ペアの場合
米ドル/円やユーロ/円のような日本円が絡む通貨ペアの場合、基本的に1pips=0.01円(1銭)と考えます。100pipsが1円なので、比較的覚えやすいでしょう。
pipsを使って損益を計算するためには、以下の式を使います。
損益=獲得pips×1pipsの基準値×取引数量 |
「1pipsの基準値」とは、つまり0.01円です。
例えば、米ドル/円を130円(130円00銭)の時に1万通貨で買いエントリーし、130.50円(130円50銭)の時に売却した際の損益を求めてみましょう。
獲得pipsは50pips。1pipsの基準値は0.01円。
これを先ほどの式に当てはめると以下のようになります。
50×0.01×10,000=5,000 |
獲得利益は5,000円であることがわかります。
ただし、一部のFX会社は1pip=0.01円でない場合もあるので注意が必要です。
例えば、外為どっとコムやヒロセ通商、JFXでは、円クロスの通貨ペアは1pips=0.001円(0.1銭)となっています。
注文時に1pips=0.01円と考えて設定したら違っていた…というリスクもあるので、自分が取引しているFX会社のpip単位はしっかりと確認しておきましょう。
外為どっとコムヒロセ通商GMOクリック証券米ドル/円の1pip | 0.001円(0.1銭) | 0.001円(0.1銭) | 0.01円(1銭) |
ユーロ/円の1pip | 0.001円(0.1銭) | 0.001円(0.1銭) | 0.01円(1銭) |
ポンド/円の1pip | 0.001円(0.1銭) | 0.001円(0.1銭) | 0.01円(1銭) |
ユーロドルなど日本円が絡んでいない通貨ペアの場合
ユーロ/米ドルやユーロ/ポンドのような円が絡まない通貨ペアの場合、基本的に1pips=0.0001外貨になります。
円が絡まない通貨ペアの損益を計算する方法は、まずは円絡み通貨ペアと同様に「損益=獲得pips×1pipsの基準値×取引数量」で計算します。ここでは1pipsの基準値を0.0001としておきましょう。
例えば、ユーロ/米ドルが1.1000ドルの時に1万通貨で買いエントリーし、1.1050ドルの時に売却した際の損益を求めてみます。
獲得pipsは50pips。1pipsの基準値は0.0001外貨(米ドル)。
これを先ほどの式に当てはめて計算すると以下になります。
50×0.0001×10,000=50 |
つまり50米ドルの利益であることがわかりました。
さらに、この利益を円で表したい場合は、決済時のクロス円のレートを掛け算して求めます。仮に為替相場が1ドル130円だとすると、以下になります。
50米ドル×130.00円(米ドル/円のレート)=6,500円の利益 |
このように、円が絡んでいる通貨ペアと円が絡んでいない通貨ペアでは1pipあたりの損益金額は異なります。
なお、日本円が絡んでいない通貨ペアも、1pipsの単位が異なるFX会社があります。
例えば、外為どっとコムやヒロセ通商、JFXでは1pips=0.00001外貨となっています。
円が絡まない通貨ペアは1pipsあたりの単位の違いだけでなく、FX会社独自の基準もあって混乱しやすいので、より注意しましょう。
外為どっとコムヒロセ通商GMOクリック証券ユーロ/米ドルの1pip | 0.00001米ドル | 0.00001米ドル | 0.0001ドル |
ポンド/米ドルの1pip | 0.00001米ドル | 0.00001米ドル | 0.0001ドル |
ユーロ/ポンドの1pip | 0.00001米ドル | 0.00001米ドル | 0.0001ポンド |
取引スタイルによって、狙うpipsは変わる
FXの取引スタイルはおおまかに分けて、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードの3種類がありますが、それぞれ狙う値幅(pips)は変わってきます。
<スキャルピング>狙う目安:1pips〜10pips数秒〜数分の売買を1日に何度も繰り返して利益を積み重ねていく取引スタイルです。 1回の取引における利益の目安は5pips〜10pipsと少ないですが、5pips〜10pipsの獲得を何度も繰り返してpipsを積み重ねることで、大きな利益を狙います。 |
数時間〜1日単位で取引を行う取引スタイルです。 ポジションは翌日に持ち越さず、1日で完結させます。1回の取引における獲得利益の目安は10〜50pipsで、1日に2回〜3回の取引を行います。 |
数日〜数週間単位で取引を行います。 ポジションを長めに保有する分、大きな値幅を狙いにいきます。1回の取引における獲得利益は100pips以上を狙えます。 |
このように、トレードスタイルによって狙うpipsは変わります。
例えば、スキャルピングのような超短期売買で100pips以上を獲得することはほぼ不可能ですし、スイングトレードで10pipsの獲得を目指すのは投資効率が悪すぎるでしょう。
まずは、自分に合うトレードスタイルを決めることが大切です。
なお、ここで紹介したのはあくまで目安です。デイトレードだから絶対に50pips獲得を狙う、スキャルピングだから10pips獲得を狙う…などと画一的に考えるのではなく、自身の取引数量や許容リスクと相談しながら、どのくらいの利益を狙っていくかを決めましょう。
新規と決済の同時発注、トレール幅の設定など、使う場面は多い
pipsは損益計算だけでなく、注文時などFXにおけるさまざまな場面で使われます。
出典:FXプライムbyGMO例えば、上の画像はFXプライムbyGMOの注文画面ですが、新規エントリー時に損切りの注文である決済逆指値も同時に発注したい場合、pipsで設定する必要があります。
出典:みんなのFXまた、上記の画像はみんなのFXのツールである「Myパフォーマンス」です。自身の取引や「みんなのシストレ」の取引結果が表示されますが、合計取引利益や最大取引利益などの項目でpipsが使われています。
その他にもpipsが使われる場面はいろいろあります。
・トレール注文やスリッページを設定する場合
出典:楽天証券画像は楽天証券の取引ツール「マーケットスピードFX」での注文画面。
トレールの項目を見ると、pipsで設定するようになっています。また、スリッページの項目もpipsでの設定になります。
・自動売買の場合
出典:アイネット証券画像はアイネット証券の自動売買「ループイフダン」のランキングですが、20や10の数字は値幅を表しており、要するにpipsです。
例えば、「ループイフダンBS20」なら20pipsごとに取引を行うということです。
このように、各FX会社のツールを見ると、注文や損益計算などのさまざまな場面でpipsが使われていることがわかります。FXで取引をするのであれば、pipsの考え方を身につけておいた方が取引がしやすくなるのは間違いないと言えるでしょう。
はたして為替相場は1日に何pips動くのか?実例で紹介
ここでは米ドル/円の1日の変動幅がどのくらい動いているのかを紹介します。
出典:Tradingviewまずは、米ドル/円チャートを見てみましょう。丸で囲っているのが2022年9月22日で、日銀が介入を行ったことによって価格が大きく動いています。
この日の高値が145.902円、安値が140.350円なので、約500pipsの大きな変動が発生しました。
また、直近を見ると、2023年2月1日は高値が130.411円、安値が128.537円なので約200pipsの変動が発生しています。
出典:OANDA JapanこちらはOANDA Japanの「OANDA Lab」で表示されている「ボラティリティ グラフチャート」です。
米ドル/円の過去3か月間における1日の変動幅の推移を表しています。600pips以上動いた日もある一方で、100pips以下という動かない日も見られます。3か月間を通して見ると、米ドル/円の変動幅は100pips〜200pipsで動く日が多いと考えられます。
さらに違うデータも見てみましょう。
出典:JFXJFXの「ボラティリティ表」における、2022年1月1日〜2023年2月1日の約1年間におけるボラティリティの集計結果です。
日足の結果を見ると、やはり高金利通貨の変動幅が大きいですが、米ドル/円は平均で約140pipsという結果になっています。この表は1pip=1銭という計算なので、ここ1年間での米ドル/円の日足を平均すると1.4円ほど動いていると考えられます。
出典:マネーパートナーズ最後にマネーパートナーズのデータで「変動率の推移」を見てみましょう。pipsの話題からは少々ずれますが、通貨ペアの値動きの傾向を学んでおいて損はありません。
3か月間の通貨ペアの変動率で、青色が豪ドル/円、赤色が米ドル/円、紫色がポンド/円、緑色がユーロ/円、黄色がユーロ/米ドルを表しています。
だいたい、1〜4%に収まるようです。他の通貨ペアと比べてポンド/円には変動率が高くなりやすい傾向があります。
出典:マネーパートナーズこれはマネーパートナーズの2023年1月23日〜2023年1月27日における変動幅ランキング。ここ最近では豪ドル絡みの通貨ペアのボラティリティが大きく、米ドル/円は落ち着いてきていることが見て取れます。
pipsについて知っておきたい注意点
FX取引では決済時の値幅(pips)が損益額につながりますが、損益額は取引した数量(ロット数)によって大きくも小さくもなります。
例えば、100pipsを獲得したときの利益額は1,000通貨取引では1,000円の利益ですが、1万通貨取引では1万円の利益になります(100pips=1円の場合)。
損切りも同じで、「〇〇pips逆行したら損切りしよう」というルールに基づいて行っている場合、取引数量が大きいほど損失も拡大します。
米ドル/円を1,000通貨取引していて10pips逆行した場合−10×0.01×1,000=−100 |
つまり、損失額は100円です。
では取引量が多い場合はどうなるでしょうか。
米ドル/円を1万通貨取引していて10pips逆行した場合−10×0.01×10,000=−1,000 |
取引量が1,000から1万になったわけですから、当然ながら損失額もゼロが一つ増えて1,000円です。
いつも同じ取引数量で取引しているのであれば特に問題ありません。
しかし「普段は1,000通貨単位で取引しているけど、チャンスだと思って取引数量を大きくした」といった場合は要注意。いつもと同じレベルで損切りをしたら、損失額が大きくなってしまった…ということもあり得ます。
pipsでの計算に慣れていない人、特にFXを始めたばかりの人は、pips幅で損切りを設定する際に「画面上に表示されている損失額」を必ず確認するよう心がけましょう。
pipsのまとめ
この記事のまとめ
- pipsとは、FXにおける通貨の値幅を表す共通単位
- これを使うことで、さまざまな通貨ペアでの値動きを理解しやすくなる
- どんな取引内容だったのかも理解しやすくなる
- 簡単な計算式に当てはめれば損益額を算出できる
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記事の編集責任者
FINANCIAL JOURNAL編集長
齋藤直人
編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips
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