FOMCとは?FXなどの投資に活かす方法と注意点を解説

FOMCとは

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世界経済に大きな影響を与えるニュースの一つに「FOMC」があります。

これはアメリカの金融政策を決定するための重要な会合で、FXなどの投資をしている人であれば必ず把握しておきたいイベントです。

この記事では、FOMCの基礎知識や投資に活かす方法について解説しています。

この記事に書いてあること

  • FOMCとは、アメリカの金融政策を決める重要な会合
  • 結果によって、為替相場や株式市場が大きく動くこともめずらしくない
  • リスクを避けるなら、混乱が収まるまでは取引きを見送った方がいい
  • FOMCの日程をチェックし、備えておきたい

目次

FOMCとは?まずは基礎知識から解説

FXや株式など、投資をするうえで知っておくべき重要なイベントの一つがFOMC。

これは世界一の経済大国である米国の金融政策を決める会合で、世界中の投資家に注目されています。

まずはFOMCの基本的な知識と、為替相場にどのような影響を与えているのかについて解説していきます。

アメリカの金融政策の方針を決定する会合

FOMCは「Federal Open Market Committee」の略で、日本語だと「連邦公開市場委員会」と呼ばれます。

政策金利の引き上げや引き下げ、通貨供給量など、米国における金融政策の方針を決定する会合です。

日本では「日銀金融政策決定会合」が政策金利の引き上げ、引き下げなどの金融政策の方針を決定しますが、米国はFOMCがそれにあたります。ちなみにEUでは「ECB理事会」が金融政策を決定する機関となっています。

FOMCは、世界経済の中心である米国の金融政策を決定するため、為替や株式市場に大きな影響を与えます。だからこそ、世界中の投資家から注目を集めているわけです。

基本的に年に8回開催され、FRBの議長や理事、各地区の連邦銀行総裁が参加し、金融政策について話し合います。

FXを始めとする投資をするなら、FOMCに関する基本的なことは必ず覚えておきましょう。

投資家に注目される理由

世界経済をけん引する米国の金融政策は、為替相場や株式相場を大きく動かす要因になります。

直近でFOMCが相場を動かした例は、2022年から続く米国の利上げです。2020年3月のコロナショックから金利を引き下げていた米国は、2022年3月15日〜16日に行われたFOMCから利上げを開始。2022年1月に0.25%だった政策金利は、2022年12月には4.50%まで上昇しています。

この米国の金利上昇に伴い、ドル買いが行われ、ドル高傾向になりました。

ドル高傾向の図

画像は米ドル/円の2022年の日足チャートです。2022年3月15日以降は、非常に強い上昇トレンドになっています。2022年3月は118円台だった米ドル/円は、2022年10月下旬には150円台まで上昇しました。

米国が利上げしたことで金融緩和を続ける日本との金利差が広がり、金利が高い米ドルを買う動きが大きくなったため、米ドル/円が大きく動く要因となったと考えられます。

株価についても見ていきましょう。

2020年3月のコロナショック時からのダウ平均の日足チャート

2020年3月のコロナショック時からのダウ平均の日足チャートです。2020年3月は新型コロナウイルス感染拡大による経済悪化で、臨時のFOMCが開かれ、米金利の利下げが相次ぎました。

コロナショック前の2020年2月の米国の政策金利は1.75%でしたが、2020年4月には0.25%まで低下しました。

その結果、ダウ平均は2年間にわたって上昇トレンドとなりました。2022年1月には3万7000ドル付近まで上昇しており、コロナショック前の水準の2万9000ドル台を大きく上回っています。利下げが米国の株価の上昇に影響を与えたと考えられます。

このように、政策金利の引き上げ、引き下げで為替や株価は長期的に大きく変動します。だからこそ、米国の金融政策の方針を決定するFOMCが世界中の投資家に注目されているのです。

ちなみに、FOMCで政策金利がどのように動くかは、CMEの「Fed Watch ツール」を使うと予想しやすいので、お勧めです。

Fed Watch ツールとは

CMEグループはシカゴに本拠を置く、デリバティブ取引所の運営会社です。そのCMEグループがFOMCの政策金利の動向を分析し、どのくらい変更するのかを予想するツールが「Fed Watch ツール」。

:Fed Watch ツールの公式サイトの画像

例えば、これは「Fed Watch ツール」の2023年4月7日現在の画像です。左上の「MEERING DATE」が「202353」になっているので、2023年5月3日に開催されるFOMCを表しています。

グラフを見ると、475-500が33.0%になっています。これは現在のフェデラルファンド金利(米国の政策金利)の目標レンジが4.50〜4.75%なので、次回のFOMCでは金利が据え置きとなる可能性が33.0%ということ。

一方で、500-525が67.0%になっています。これは、次回に0.25〜0.50%の利上げする確率が67.0%と考えられています。つまり、市場では次回のFOMCで利上げする可能性が高いと予想されていると判断できます。

「Fed Watch ツール」を参考にしている投資家は多く、どのくらい利上げが相場で織り込まれているか判断できるので、チェックしておくと参考になります。

FOMCにおける4つの情報材料

FOMCと一言で表しても、さまざまな情報が発信されているので、どれが重要なのか迷ってしまうかもしれません。

FXトレーダーは、次の4点に注目してみましょう。

  1. 声明文
  2. 記者会見
  3. FOMCメンバーによる経済見通し
  4. 議事要旨

それぞれどのような内容なのか解説します。

①声明文

FOMC後に声明文が発表されます。声明文を読むと、現在の米国における経済や物価に対する評価、金融政策の方針が分かります。

声明文では米国経済の大まかな動向を把握できると共に、政策金利の変更といった、金融政策の方針が示唆される場合も多いので、投資家に注目されています。

声明文の内容によっては、相場が大きく動くケースもあります。

②記者会見

FOMC後に、FRB議長が記者会見を行います。会合で決定した内容や現在の米国経済の見通し、将来的な金融政策の方針についてのコメントを聞けます。記者からの質疑応答もあり、発言内容によっては相場が大きく動く可能性があるので、記者会見も市場参加者に注目されています。

③FOMCメンバーによる経済見通し

FOMCの参加者による直近3年後までの経済見通しが発表されます。予想されるのは金利の見通し、GDPやインフレなどで、FRBや各地区の連邦銀行総裁が米国経済をどのように見ているのかを確認できます。

この見通しは参加者がドットを使ってどのくらいの水準になるかを点で散布図化したグラフで表示するので、「ドットチャート」と呼ばれています。

2023年3月のFOMCのドットチャートの図

画像は2023年3月のFOMCのドットチャートです。ドットチャートはFRBの公式ホームページの「Monetary Policy」→「About the FOMC」→「Meeting calendars and information」にあるPDFで確認することができます。

Fed Watch ツールで確認したドットチャート

「Fed Watch ツール」でもドットチャートを確認できます。左の「Dot Plot」を選択すると、表示されます。

また、ロイターにもドットチャートがあるので、活用してみましょう。

なお、FOMCメンバーによる経済見通しは毎回ではなく、3月、6月、9月、12月の会合後に発表されます。

④議事要旨

FOMCの3週間後くらいに議事要旨が公表されます。議事要旨では声明文や記者会見では公表されなかった内容が明らかになります。

記者会見や声明文で重要な情報のほとんどは発信されているので、相場が大きく動くことは少ないのですが、FOMCで具体的にどのような内容を話し合ったのかが詳細に分かります。

以上がFOMCで注目される4点です。ただ、全て英語のため、全ての情報を得るのは難しいかもしれません。

FOMC後に証券会社のレポートやロイターやブルームバーグなどのニュースサイトで内容が日本語でまとめられるので、英語が苦手な方はそれらでチェックすると良いでしょう。

FOMCが相場に与える影響

ここまでの解説で、FOMCの基礎的な役割は理解できたのではないでしょうか。ただし、それだけでは「金利動向が相場にどのような影響を与えるのか」が分からないかもしれません。

次に、FOMCの内容が相場に与える影響を具体的に説明していきます。

米ドル/円相場への影響

FOMCで注目されるのは、やはり米国の金利がどうなるのかです。上がるにしても、下がるにしても為替市場は大きく動きます。

米国が政策金利を引き上げる、いわゆる利上げをした場合、ドルが買われやすくなるので、ドル高傾向になります。そのため、米国が利上げが決定した場合、米ドル/円は上昇しやすくなります

反対に、政策金利を引き下げる、いわゆる利下げをした場合、ドルが売られやすくなるので、為替市場はドル安傾向になります。米国が利下げを実施したら、米ドル/円は下落しやすくなるということです。

実際に利上げや利下げを実施しなくても、FOMCで利上げや利下げに言及するだけで相場が動く可能性があります。

例えば、記者会見で「将来的に利上げする」「利下げの余地がある」のような発言があると、相場はその方向に動きやすくなるので、注意しましょう。

米国が利下げする ドルが売られやすくなり、ドル安傾向になる
米国が利上げする ドルが買われやすくなり、ドル高傾向になる

株式市場への影響

金利の推移は為替市場だけでなく、株式市場にも大きな影響を与えます。

米国が利上げすると、基本的に米国の株価は下落傾向になります。反対に、米国が利下げすると、米国の株価は基本的に上昇傾向になります。

米国の株価だから日本株には影響がないと思われるかもしれません。しかし、日本株には米国株と連動しやすいという傾向があります。

つまり、米国株が上昇すれば日本株も上昇しやすくなり、米国株が下落すれば日本株は下落しやすくなります

日本株を取引しているから米国の金利動向は関係ないと考えてしまうと、思わぬ下落によって損失を被るリスクがあります。

株式投資をする場合も米国の株価動向を把握するのは重要です。そのためには、米国の金融政策を決めるFOMCに注目しておく必要があります。

米国が利下げする 基本的に米国の株価は上昇傾向になり、日本株もつられて上昇しやすくなる
米国が利上げする 基本的に米国の株価は下落傾向になり、日本株もつられて下落しやすくなる

FOMCの開催日と時間帯について

FOMCの開催日はあらかじめ発表されており、証券会社の経済指標カレンダーやFOMCの開催日などで検索すると分かります。

FOMCの前後、特にFOMC後は相場の動きが変わりやすいので、日程を把握し、備えておくことが安定して勝つためには重要です。

ここからはFOMCの開催日と時間帯について解説します。

2023年の日程

2023年に行われるFOMCの日程は以下になります。

1回 1月31日~2月1日
2回 3月21日~22日
3回 5月2日~3日
4回 6月13日~14日
5回 7月25日~26日
6回 9月19日~20日
7回 10月31日~11月1日
8回 12月12日~13日

FOMCは年8回、2日間にわたって開催されます。2023年4月現在においてはすでに2回行われているので、2023年のFOMCはあと6回開催されます。

「FOMC 日程」で検索するとスケジュールが出てきます。正確なスケジュールについては全て英語ですが、FRBのウェブサイトで確認できます。

発表されるのは日本時間で何時?

FOMCは日本時間の午前3時(夏時間)に開催されます。ただ深夜なので、リアルタイムでは確認できない人が多いのではないでしょうか。次の日にニュースやレポートで確認すると良いでしょう。

もちろん、FOMCの結果は全て英語で発表されます。

なお、夏時間と冬時間で発表時間が異なります。夏時間は日本時間の午前3時、冬時間は日本時間の午前4時に発表されます。

冬時間・夏時間とは

欧米ではサマータイム制度が実施されており、日照が長い時期は、標準時(冬時間)よりも1時間ほど時間を進めています。例えば、冬時間が午後2時開催なら、夏時間だと午後1時開催になります。

そのため、発表時間や開催時間が冬時間と夏時間で異なるので注意が必要です。

米国における冬時間と夏時間の期間

夏時間 3月の第2日曜日~11月の第1日曜日
冬時間 11月の第2日曜日~3月の第1日曜日

FOMCの発表や情報をFXに役立てるなら

ここまでは、FOMCが米国の金融政策の方針を決定する重要なイベントであることを解説しました。FOMCの動向によっては、為替や株価が動きやすくなることも理解できたと思います。

ここからは、FOMCをFXに活かす具体的な方法について解説していきます。

発表前・発表後の相場の傾向を知る

FOMCのような、相場が大きく動きそうなイベントや経済指標が発表される前は、市場参加者が結果を見極めるために取引を控える、いわゆる「様子見」に徹しやすくなるため、値動きが比較的穏やかになりやすい傾向があります。

そして発表直後は、結果にもよりますが、値動きが激しくなるケースが多いといえます。

ポジションの反対に大きく動いてロスカットになってしまう可能性もあるので、イベントや指標発表前後に取引をする場合やポジションを持ち越す時は注意しましょう。

リスクを避けるならポジションを持たない(決済する)

FOMCに限らず相場が大きく動きそうなイベントや経済指標発表時は、価格変動リスクを避けるためにエントリーしないようにし、もし保有ポジションがある場合も決済して様子見した方が無難です。

2023年2月3日の米雇用統計発表時の米ドル/円の15分足チャート

画像は2023年2月3日の米雇用統計発表時の米ドル/円の15分足チャートです。ローソク足が大きな陽線をつけています。

この時の米雇用統計の結果は、予想を大きく上回るサプライズとなったため、米ドル/円が発表前の128円台から130円付近まで大きく上昇しました。

この時に売りポジションを保有していた場合、ロスカットになる可能性もあったでしょう。

このように、サプライズが起こると、価格が大きく変動しやすくなります。「根拠はないけど上昇するだろう」「おそらく下がるだろう」とギャンブル的なトレードをしてしまうと、大きな損失を被るリスクがあります。

損切りの逆指値を設定しているから安心だと思っていても、スリッページによって不利な価格で約定してしまうケースもあります。

株式投資には「休むも相場」という格言があります。FXもイベントや経済指標発表のようなリスクの高い時は、取引を休んで様子見した方が勝つためには大切な要素です。

発表直後の相場に飛び乗らない

イベントや経済指標発表の直後は値動きが激しくなりやすく、大きく上昇した後に元の水準まで大きく下落するケースもあります。

そのため、「大きく上昇している今が買いエントリーのチャンス」、「大きく下落している今こそ売りエントリーだ」と、目の前の値動きにつられてエントリーしてしまうと、すぐに反対方向に動いてロスカットになってしまったというケースもあり、発表直後の値動きを狙うトレードはリスクが大きくなります。

また、値動きが激しい時はスプレッドが拡大していることも多く、コストが大きくなって不利になりやすいです。

発表直後の激しい値動きを狙うのではなく、値動きが落ち着いてから取引した方がリスクを減らせます。

FOMC以外にも注意しておきたい重要な経済指標

FXトレーダーとして注目しておくべきはFOMCだけではありません。相場を動かす要因となるイベントや経済指標はさまざまです。

ここでは、最低限チェックしておくべき、経済指標について紹介していきます。相場にどんな影響を与え、発表タイミングがいつなのかをぜひ覚えておきましょう。

米国雇用統計

株式や為替など、投資家が必ず注目しておくべき指標が米国雇用統計です。

雇用統計とは失業者や雇用している人を調査した統計で、雇用状態を測る指標です。

一般的に、雇用状態が良い=景気が良い雇用状態が悪い=景気が悪いと考えられるため、雇用統計はその国の景気を判断するためのサンプルにされます。

雇用統計自体は各国でも公表されていますが、米国雇用統計は世界トップの経済大国である米国の景気状態を測れる指標のため、世界中の投資家が注目しています。

米国雇用統計にはさまざまな項目がありますが、FXトレーダーとして注目すべきは、

  • 平均時給(平均賃金と増減)
  • 非農業部門雇用者数(農業除いた産業や公務員で雇用者の人数と増減)
  • 失業率(失業している人の数と増減)

の3点です。

基本的に雇用統計の数値が良いと米国の景気が良いと判断されてドルが買われやすく、数値が悪くなれば米国の景気は悪いと判断されてドルが売られやすくなります

米国雇用統計は予想値が公表されます。予想値よりも数値が大きく乖離する、いわゆる「サプライズ」が起きたら相場は大きく動きます。

反対に、予想値とほぼ同じ数値なら相場が動かない場合もあります。雇用統計発表時の値動きを狙うのはギャンブル的なトレードになりやすく、リスクが大きくなるので注意しましょう。

米国雇用統計は、基本的に毎月第1金曜日に前月のデータが発表されます。発表時間は夏時間は日本時間の21時30分、冬時間は日本時間の22時30分です。

FX会社によっては、米雇用統計発表時にアナリストがリアルタイムで実況を行う「雇用統計ライブ」が開催されているので、視聴してみると参考になるでしょう。

どのFX会社でも米雇用統計は重要視されており、経済指標カレンダーでも重要視されています。

経済指標カレンダー

例えば、画像はGMOクリック証券の経済指標カレンダーですが、非農業部門雇用者数と失業率は最高の星5です。

GMOクリック証券の経済指標カレンダー

こちらは外為どっとコムの経済指標カレンダー。非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の全てにマークがついています。

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数は商品やサービスなどの物価がどのように変動しているのかを示す数値です。英語で「Consumer Price Index」、略してCPIといいます。

CPIはインフレを測る指標として注目されています。CPIが上昇していると物価が上昇している=インフレ傾向を意味しており、反対に、CPIが下落していると物価が下落している=デフレ景気であると意味しています。

つまり、CPIが上昇している=インフレ傾向=利上げの可能性が高まるため通貨が買われやすくなり、CPIが下落している=デフレ傾向=利下げの可能性が高まるため通貨が売られやすくなります。

一般的に、景気が良いとインフレ傾向となり、景気が悪いとデフレ傾向になります。

ちなみに、中央銀行の使命の一つに「物価の安定」があります。主要国の中央銀行は2%前後のインフレ率を目標にして金融政策の方針を決めるため、各国のインフレ率がどのくらいなのかを把握するのは重要です。少なくとも、取引する通貨ペアの2か国のCPIは把握した方が良いでしょう。

米国のCPIの発表は毎月15日前後です。

GMOクリック証券の経済指標カレンダー

GMOクリック証券の経済指標カレンダーでは、前月比のCPIは星4つで重視されていますが、前年比などは星が2〜3つ程度です。

外為どっとコムの経済指標カレンダー

一方、外為どっとコムの経済指標カレンダーでは全てマークがついています。

最低でも、前月比の消費者物価指数は米国のインフレがどうなっているのかを把握するためにも、確認しておくべきでしょう。

国内総生産(GDP)

国内総生産とは、その国で一定期間内に生産された財やサービスの付加価値の合計を表す指数です。英語で「Gross Domestic Product」、略してGDPです。

前年比や前期比と比較し、どのくらい増減しているかで、その国の景気や経済状況を測れます。経済が好調だとGDPの数値は高く、経済が悪化しているとGDPの数値は低くなります。

つまり、GDPの数値が高い=経済が好調=将来的に利上げする可能性があると判断されるため、GDPが高くなるとその国の通貨が買われやすくなる傾向があります。

反対に、GDPの数値が低い=経済が低調=将来的に利下げする可能性があると判断されるので、GDPが低くなるとその国の通貨は売られやすくなる傾向があります。

GDPも各国が公表しており、予想値も出ています。予想と結果に乖離があれば相場が動く可能性があるので注意しましょう。

また、GDPは国ごとによって発表が異なり、「速報値」、「改定値」、「確報値」などがあります。この中だと「速報値」が最も注目されていますが、改定値や確報値によっても相場が大きく動く可能性があります。

なお、「名目GDP」と「実質GDP」があり、経済状況を知るには実質GDPのほうが重視されています。

米国のGDPは四半期ごとに発表されます。他の指標とは異なり、発表期間が空くので、注意しましょう。

GMOクリック証券の経済指標カレンダー

米国のGDPはGMOクリック証券の経済指標カレンダーだと星4つです。

外為どっとコムの経済指標カレンダー

外為どっとコムの経済指標カレンダーでも赤マークがついており、米国のGDPが重要視されています。

ISM製造業景気指数

ISM製造業景況感指数は、米供給管理協会が公表する製造業の景況感を示す指数です。米供給管理協会は英語で「Institute for Supply Management」で、 略してISMとなります。

300社以上の製造業企業に対してアンケートを行い、回答結果から算出しています。一般的に、50を基準に、50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退と判断されます。

つまり、50を上回ると景気が良いと判断され、ドル買いの傾向になりやすく、50を下回ると景気が悪いと判断され、ドル売りの傾向になりやすいです。

発表は毎月第1営業日。夏時間だと日本時間の23時、冬時間は日本時間の24時に発表されます。

米国の経済指標の中では公表が早いので、米国の景気を表す先行指標として注目されています。

GMOクリック証券の経済指標カレンダー
外為どっとコムの経済指標カレンダー

ISM製造業景況感指数もGMOクリック証券と外為どっとコムの両方の経済指標カレンダーで重要視されているので、しっかりと確認しましょう。

FOMCに関するよくある質問

発表前にポジションを持っていた場合、必ず決済した方がいいですか?

サプライズが起きた場合は保有ポジションとは反対の方向に大きく動く可能性があります。損失リスクを減らすためには、FOMCや米雇用統計のような相場が大きく動くイベントや経済指標発表前は決済しておいた方が無難です。

ただし、スワップポイント狙いなどの長期保有をしている場合、イベントや経済指標ごとに決済してしまうと非効率なので、決済せずに保有し続けることになるでしょう。

長期保有をする場合は、イベントや経済指標発表でポジションの反対方向に大きく動いてもロスカットにならないように資金には余裕を持たせて起きましょう。基本的に2〜3倍程度のレバレッジになる資金量で運用するのが無難です。

結果が出たあと、大きく相場が動くのはどんなときですか?

イベントや経済指標の結果で相場が絶対に動くとは限りません。予想されている数値とほぼ同じ結果になれば、あまり動かないケースも多いです。

例えば、「次のFOMCで0.25%の利上げがされそうだ」と予想されていて、実際にFOMCで0.25%の利上げが決定されたら、想定通りとして、大きな値動きは起きにくいでしょう。

イベントや経済指標で大きく動きやすいのは、予想の数値とは大きく異なるサプライズが起きた時です。

例えば、「次のFOMCで0.25%の利上げがされそうだ」と予想されていたとして、実際のFOMCで0.25%ではなく0.75%の大幅な利上げや、利上げではなくて利下げするみたいな予想とは全く異なる発表がされると、サプライズとして相場が大きく動きやすくなります。

イベントや経済指標発表は結果だけでなく、予想と結果の乖離についても注目しましょう。

大学卒業後、業界新聞社2社を経験。業界紙記者の過酷さ、ライティングや取材の楽しさ、そして斜陽産業の先行きの暗さを学ぶ。

その後、投資関係のコンテンツに携わって投資スキルを高めようと決意し、FXの専門誌「FX攻略.com」の編集者としてFX業界に潜り込む。

FX攻略.com』の休刊後、勤め人からフリーライターに転身。

現在はFX系の雑誌『外国為替』を中心に、投資関連の記事・執筆に従事中。

鹿内武蔵

FX雑誌『外国為替』編集長・株式会社tcl代表取締役

鹿内武蔵

2022年創刊のFX雑誌『外国為替』編集長。

FX編集者歴は長く、2008年より『FX攻略.com』元副編集長として、取材・編集・執筆に携わる。多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に、FX、投資ライターとして活動中。

株式会社tcl代表として各種メディアで執筆しているほか、自身もトレーダーとしてFXの運用も行っている。好きなテクニカル分析はボリンジャーバンド。

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記事の編集責任者

齋藤直人

FINANCIAL JOURNAL編集長

齋藤直人

編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。

雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。

FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips

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