円安・円高をわかりやすく解説!仕組みやメリットデメリット・今後の見立ては?
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2022年現在、円安にまつわるニュースが盛んに報道されています。
円安が進むことによって実際の生活にもいろいろな影響が出ていますが、ふと「円安とか円高ってどういうことだっけ…?」と思うことはありませんか。
そして「これからどうなるの?何か対策をした方がいいの?」という不安を感じている人も多いことでしょう。
この記事では、円安・円高に関する知識をわかりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- 円安とは「円の価値が低くなった状態」で、1ドル140円が150円になった場合などのこと
- 円安になると、個人としては海外旅行や輸入製品が高くなるデメリットがある
- 為替相場の値動きを狙った投資をするのであればFXが考えられる
目次
円安とはどういうこと?円高などの違いも含めてわかりやすく仕組みを解説
そもそも円安、円高とはどういうことなのでしょうか?
ニュースなどで盛んに見聞きするものの、その意味を正確に説明できる方は意外に少ないかもしれません。そこで今さら聞けない円安、円高の基本的な仕組みについて解説します。
円安とは「円の価値が低くなっている」こと
円安とは、円の価値が安くなっている(低くなっている)ことです。
円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。
世界にはたくさんの通貨がありますが、一般的に円安や円高は基軸通貨である米ドルに対して相対的に価値が安いか高いかを示しているため、円安は対ドルで円の価値が相対的に低くなっていると理解すれば問題ないでしょう。
アメリカに海外旅行に行く際に、かつて1ドルが110円の頃は11万円あれば1,000ドルに交換できましたが(手数料などは考えない場合)、2022年現在は米ドル/円相場が150円付近にまで円安になっているため、1,000ドルと交換するには15万円が必要です。
これは、円の価値が低くなってしまっているからです。
110円と150円だと「150円」のほうが数字が大きいため「円高」と誤解してしまいがちですが、1ドルと交換するためにより多くの円が必要になるため、これは円安です。
円高とは円の価値が高くなっていること
円安の逆が、円高です。円安と同様に円高は一般的に米ドルに対して円の価値が相対的に高くなっている状態のことをいいます。円高についても、海外旅行を例に解説しましょう。
上で解説したとおり、2022年現在は1ドルが150円付近なので1,000ドルと交換するために15万円が必要になる計算ですが、もしもこれが110円付近まで戻ったとします。すると1,000ドルと交換するために15万円も必要ではなくなり、11万円で済むようになります。
つまり150円のときに比べて円の価値が高い、円高というわけです。
110円と150円だと「110円」のほうが数字が小さいので、これが「円安」だと誤解しがちですが、1ドルが110円のほうが少ない円で多くの米ドルと交換できるため、これは円高です。
円高、円安をより理解するために為替の仕組みを理解する
円高、円安といった相場の変動は、為替市場(外国為替市場)で起きています。
為替市場では異なる通貨同士の交換取引が行われており、日本円と米ドルやユーロをはじめ、世界各国の通貨が取引されています。ただし、株取引のように証券取引所があるわけではなく、主に銀行同士が為替取引をするために利用しているインターバンク市場が取引所の役割を果たしています。
東京とロンドン、ニューヨークが世界の主要な外国為替市場と見なされており、これらを含む世界各地の外国為替市場が時差の関係で「常にどこかで取引されている」ことから、FXを含む外国為替取引は平日のほぼ24時間いつでも取引が可能です。
為替市場では売り手と買い手の需給によって為替レートが変動しているわけですが、この需給に影響を与えるのは主に以下の要素です。
- 金利
→金利が高い国の通貨が買われ、低い国の通貨が売られやすい。 - 政治、経済政策
→政治や経済政策に不安定感があると通貨は売られやすい。戦争などの地政学リスクは特に顕著。 - 景気
→景気のよい国の通貨は買われやすく、逆は売られやすい。 - 物価
→物価の上昇は貨幣の相対的価値を低くするため、インフレの国は通貨が売られやすく、デフレの国は買われやすい。 - 国際収支、経常収支
→対外黒字が大きくなると外貨を売って自国通貨に交換する需要が高まるため、自国通貨高になりやすい。対外赤字が大きくなると外貨需要が増すため自国通貨安になりやすい。
これら以外にも為替レートに影響を与える要因はありますが、上記の5つは特に影響を与えることが大きいため、注視しておくと為替レートとの相関関係を見出しやすくなります。
円安・円高の影響によるメリットとデメリット
円安や円高になると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。個人と企業のそれぞれにおいて考えられる影響を一覧表にすると、以下のようになります。
円安 | 円高 | |
---|---|---|
メリット | もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が上がりやすくなる | ・海外に安く行ける ・輸入品が安く買える |
デメリット | ・海外旅行が割高になる ・輸入品が値上がりする |
もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が目減りしやすくなる |
円安 | 円高 | |
---|---|---|
メリット | 輸出企業は価格競争力が増し、業績が良くなる | 輸入企業は仕入れが安くなり、業績が良くなる |
デメリット | 輸入企業は仕入れが高くなり、業績が低下する | 輸出企業は競争力が低下し、業績が低下する |
それでは、個人と企業にとって円安と円高がどんな影響をもたらすのか、個別に解説していきましょう。
個人にとって円安のメリットデメリット
- メリット:もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が上がりやすくなる
- デメリット:海外旅行が割高になり、輸入品も値上がりする
メリット:もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が上がりやすくなる
個人が円安のメリットを直接的に感じる機会は少ないかもしれませんが、外国の株式や債券などに投資をしている投資家には多大なメリットがあります。
それぞれの金融資産の価格が購入時と同じだとしても円安の進行により、日本円に換算した時の価値が大きくなります。
これはもちろんFXにおいても同様です。FXとの関係については、後述します。
デメリット:海外旅行が割高になり、輸入品も値上がりする
円安が個人にもたらすデメリットとして大きいのは、海外旅行が割高になることや、輸入品の値上がりでしょう。これはテレビなどでも頻繁に取り上げられているので、イメージしやすいと思います。
日本は多くの物資を海外からの輸入に依存しているため、円安が原料や製品などの輸入コストを押し上げています。それが全体的な物価高につながっていることも、多くの方が実感されていると思います。
個人にとって円高のメリットデメリット
- メリット:海外旅行に安く行けるようになり、輸入品も安く買える
- デメリット:もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が目減りしやすくなる
メリット:海外旅行に安く行けるようになり、輸入品も安く買える
円高になると、個人にとっては海外旅行のコストが割安になることや輸入品の価格低下などのメリットがあります。
これは円安の裏返しで、円の価値が米ドルなどの外貨と比べて相対的に高くなると少ない円で多くの外貨が得られるため、同じ価格のものであっても円が高い分だけ安く買えるようになります。
デメリット:もし海外株式や外国債券の投資をしていたら、円換算した資産価格が目減りしやすくなる
円高になると海外に投資をしている個人投資家にとっては逆風が吹きます。もしその海外資産を日本円に替える時には高い円と交換することになるため、同じ金額の外貨建て資産であっても得られる円は少なくなります。
ただしそれは、高い円を使って相対的に安い海外資産を買い増すことができるチャンスでもあります。
企業にとって円安のメリットデメリット
- メリット:輸出企業は価格競争力が増し、業績が良くなる
- デメリット:輸入企業は仕入れが高くなり、業績が低下する
メリット:輸出企業は価格競争力が増し、業績が良くなる
次に企業にとっての円安メリットとデメリットについて解説しましょう。輸出企業にとっては海外で稼いだ外貨を日本円に両替する時、円安だと多くの円を得ることができるため業績向上に寄与します。
トヨタ自動車の2022年3月期決算では純利益が史上最高になったことが報道されましたが、これは「想定以上の円安」が大きく寄与したものです。
このように輸出企業にとっての円安は追い風なので、上場企業の場合は円安が好感されて株価を押し上げることもあります。
デメリット:輸入企業は仕入れが高くなり、業績が低下する
輸出企業にとって円安はメリットが大きくなりますが、輸入企業にとっては逆です。
1ドルが120円であれば1,000ドルのものを輸入するのに必要な円は12万円ですが、1ドルが150円になると15万円です。
輸入品の価格が同じであっても円安によって3万円も輸入価格が高くなるのですから、これをうまく価格転嫁できなければ利益を減らすことになり、業績の低下につながります。
企業にとって円高のメリットデメリット
- メリット:輸入企業は仕入れが安くなり、業績が良くなる
- デメリット:輸出企業は競争力が低下し、業績が低下する
輸入企業は仕入れが安くなり、業績が良くなる
円高になると、輸入企業にとってのメリットが大きくなります。同じ価格の円で多くの外貨を得ることができるため、輸入品を安く仕入れることができます。
安く仕入れることができれば利益を取りやすくなるため、輸入企業にとって円高は追い風です。
輸出企業は競争力が低下し、業績が低下する
円高になると、海外から見ると日本製品は高く見えます。つまり価格競争力が低下するため海外で思うようにものが売れず、業績の低下につながります。
円安・円高とFXの関係性は?
FXは円安や円高といった為替レートの変動を投資に結び付けた商品です。FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」なので、これだけを見ても外国為替との関わりがとても深いことがお分かりいただけると思います。
それでは円安や円高とFXの関係性について解説しましょう。
FXは円安・ドル高などの値動きによる為替差益を狙った投資
FXでは異なる通貨同士を1つのペアにした通貨ペアを取引します。米ドルと日本円の通貨ペアであれば米ドル/円(ドル円)、ユーロと日本円であればユーロ/円(ユーロ円)といった具合です。
株などの現物取引ではなく差金決済取引なので、FX取引をしたからといって外貨が自宅に届くといったことはありません。通貨ペアを買う、もしくは売ることでポジションを保有し、そのポジションを建てた時と決済した時の差額が損益になります。
このように仮想的な通貨ペアが投資対象なので商品の柔軟性が高く、FXでは買いと売りのどちらからでもエントリー(新規取引)が可能で、さらに条件に違いはありません。
差額が発生する、つまり値動きがある限り利益を狙うことができるのはFXの大きな特徴です。
FXについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>FXの始め方は?初心者向けに取引までのやり方を5ステップで解説
直近は円安トレンドでFXへの関心が高まっている
2022年は、歴史的な円安が投資家だけでなく一般にも広く知られることとなりました。「●●年ぶりの円安水準」というニュースが頻繁に報道され、この●●の部分に入る年数はどんどん大きくなっています。それだけ近年にはなかった強い円安トレンドが発生しているということです。
この理由についてはさまざまな見解がありますが、多くの専門家や投資家が共通して挙げている理由のひとつに日米金利差の拡大があります。
米国では消費者物価指数(CPI)が前年同月比で8%や9%といった高水準で推移し、インフレの進行が懸念されています。それを食い止めるためにFRB(連邦準備制度理事会=米国の中央銀行)は大幅な政策金利の引き上げを続けています。
それに対して日本は大規模金融緩和を継続しているため、超低金利のままです。そのため「金利の安い円を売って金利の高い米ドルを買いたい」という流れが起きやすくなり、大量の円売りドル買いを誘発するというわけです。
なお、このように低金利通貨を売って高金利通貨を買うことで金利差のメリットを得る仕組みは、FXにもあります。
FXにはスワップポイントといって金利差を調整する仕組みがあるので、米ドル/円の買いポジション(つまり円売りドル買い)を保有することで毎日スワップポイントがもらえます。
2022年10月時点で米ドル/円の買いポジション(1万通貨分)に対して120円~130円程度のスワップポイントが毎日付与されるので、スワップポイントによる利益を狙うことも十分可能です。もし米国がさらに利上げをして金利差が拡大すると、このスワップポイントもさらに高額になります。
直近の円相場と今後の見立ては?
歴史的な円安が続いている2022年の円相場ですが、今後はどう推移していくのでしょうか。2022年10月時点での分析で、今後の円相場の見立てについて解説します。
直近の円相場をチェック
2022年の1月から10月までの、ドル/円チャートを見てみましょう。
2022年は円安が大きくクローズアップされていますが、実際に円安が始まったのは3月からです。それまでは114円台で推移しており、それほど目立った値動きはありませんでした。
しかしその後は強い円安トレンドが継続しており、一時的に円高に振れることはあっても再び円安が進み、上値を切り上げています。140円を突破してからはほぼ一本調子に150円を目指しているのも見て取れます。
9月に入ってから上下に長いヒゲ(ローソク足の上下に表れる線)が何度か出現していますが、これは政府・日銀による為替介入によるものです。短時間に5円以上の円高になったこともあるため、このように上下に激しい値動きとなっています。
円相場の今後の見立て
今後の円相場については、やはり日米金利差が拡大していく流れが続く限り、米ドル/円も強い上昇圧力が続くとの見立てが大勢です。
しかしながら150円台という大きな節目をつけたこと、そして152円を目前にしたレートで政府・日銀による大規模な為替介入が入ったことなどを考えると、調整局面がまったく入らず右肩上がりが続くというのも考えにくい状況です。
上昇が続くとしても、150円を挟んで介入に警戒しつつ、少しずつ上値を切り上げていくと見るのが妥当でしょう。しかし、日本でも消費者物価指数がじわじわと上昇しており、日銀が設定しているインフレ目標を達成すると日本もいよいよ利上げに転じる可能性があります。
日本が利上げに転じると市場に与えるインパクトは大きいと予想されるため、円相場が一気に円高に傾く可能性もあるでしょう。
円安・円高に対してどんな投資や対策をする?
2022年は円安が顕著ですが、この逆に強い円高が見られた時期もあります。今後も円安や円高は何度も訪れると考えられることを踏まえると、こうした円相場の変動に対してどんな投資で向き合うのがよいのでしょうか。
為替変動を利用した投資における基本的な考え方について解説します。
為替相場の見通しを立ててFXをやってみる
為替変動を利益につなげる最も直接的な方法となると、やはりFXでしょう。
今後の円相場がさらに円安になると予測している場合、FXでは米ドル/円やユーロ/円などの通貨ペアで買いポジションを保有することで予測を反映できます。実際に円安がさらに進んでドル高やユーロ高になれば、保有しているポジションで利益を上げることができます。
逆に相場が反転して円高傾向が強まると予測するのであれば、米ドル/円やユーロ/円などの通貨ペアで売りポジションを保有するのが有効です。エントリー時よりも円高になれば、これらのポジションで利益を上げることができます。
外貨預金や外国株式、外国債権といった外貨建ての資産を保有する
今後もドル高が続くと見るのであれば、FXの他にも為替変動で利益を狙える方法があります。外貨預金や外国株式、外国債券などです。
外貨預金は米ドルなど外貨建てで預金をする商品で、米ドルに両替をして預金した時よりもさらにドル高が進めば為替差益が発生します。
外国株式や外国債券についても同様で、ドル高が今後も進めば米国株式や米国債券の円換算価値が高くなります。
まとめ
- 円安とは「円の価値が低くなった状態」で、1ドル140円が150円になった場合などのこと
- 円安になると、個人としては海外旅行や輸入製品が高くなるデメリットがある
- 円安は輸出企業にとっては追い風、輸入企業にとっては逆風となる
- 為替相場の値動きを狙った投資をするのであればFXが考えられる
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講師は大手証券会社の支店長も務めたこの道32年のプロフェッショナルです。
日本証券アナリスト協会認定のシニア・プライベートバンカー※ 資格も持つ、まさに金融エキスパートです。
※「シニア・プライベートバンカー」は富裕層の総合的な資産運用・管理に関する知識やサービスを体系化した PB教育プログラムの最上位の資格です。
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、現在は自動売買を中心に運用中。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力し、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。
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記事の編集責任者
FINANCIAL JOURNAL編集長
齋藤直人
編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips
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