ヘッジファンドとは?仕組みやメリット・デメリットは?リスク・失敗例も紹介

ヘッジファンドとは、市場環境の良し悪しに関係なく、絶対的に利益を追求するファンドのことです。株式や債券、不動産などあらゆる金融商品や資産がヘッジファンドの投資対象になります。

この記事ではヘッジファンドの基礎やヘッジファンドの実情や、ヘッジファンドに投資するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ヘッジファンドとは
メリット
  • 分散投資ができる
  • 市場環境が悪化していても、リターンを期待できる
デメリット
  • 換金性が低い
  • 運用コストが高い
  • 運用状況の透明性が低い
注意点
  • ヘッジファンドに投資できる投資家は、多くの資産を保有する団体・企業や人に限られている

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目次

ヘッジファンドとは「絶対収益」を狙うファンド

ヘッジファンドとは絶対収益を狙うファンド

ヘッジファンドとは、株式市場の環境・動向に関係なく、絶対的に利益を追求するファンドです。

ヘッジファンド

  • 一般的な投資信託(ファンド)と違い、機関投資家や富裕層から私募により資金を集めるファンド。金融派生商品(デリバティブ)を活用して高い収益を狙うものや、ロング・ショート運用のように売りと買いを両建てにして「絶対収益」を狙うものなど、さまざまな運用手法のファンドがあります。

引用:ヘッジファンド-大和証券

ヘッジファンドの投資先は株式債券・不動産・商品(原油や金など)など多岐にわたり、投資戦略も以下のとおりヘッジファンドによって異なります。

ヘッジファンドの代表的な投資戦略の例
戦略の名称 戦略
ロング・ショート 割安な銘柄を買い、割高な銘柄を売る戦略。その中でも買いと売りの金額を合わせる戦略を「マーケットニュートラル戦略」という
イベント・ドリブン 企業の買収・合併や業務提携などイベントに注目して利益を狙う戦略
トレンド・フォロー 相場の流れに沿った売買を行う戦略
グローバルマクロ 世界中の市場のあらゆる金融商品へ、買いと売りを織り交ぜながら投資をする戦略

一般的な投資信託と比べ、ヘッジファンドはさまざま投資戦略を駆使しながら比較的自由な資産運用を行い、「絶対収益」を狙う点が特徴といえます。

ヘッジファンドの実情!超富裕層でない場合投資は難しい

ヘッジファンドの実情として一般の投資家は基本的にはヘッジファンドへ投資する機会はほとんどない

投資に関する情報を収集していると「ヘッジファンド」という言葉を見かけます。「何となくヘッジファンドに興味がある」という人もいるでしょう。

しかし、一般の投資家は基本的にはヘッジファンドへ投資する機会はほとんどないといってよいでしょう

日本国内でヘッジファンドへ投資しているのは、年金基金や生命保険会社損害保険会社などの団体・企業。個人でも資産総額が100億円以上ある超富裕層でないとヘッジファンドへの投資は難しいでしょう。

つまり、ヘッジファンドに投資できる投資家は、多くの資産を保有する団体・企業や人に限られているのです。

個人投資家でもヘッジファンドへの投資が可能な人がいるとすれば、「資産が100億円以上持っていて、そのうち5億円をリスク分散の観点でヘッジファンドに投資できる」人くらいではないでしょうか(過去に証券会社が1,000万円単位で販売したケースもあったようです)。

ヘッジファンドで大損した失敗例!

高いリターンを目指すヘッジファンドが多いため、その分ヘッジファンドへ投資する際には、破綻や損失のリスクにも目を向ける必要があります

「ヘッジファンドの破綻・損失」と聞いて記憶に新しいのが、2021年1月に起こった「ゲームストップ事件」です。

ゲームストップ事件とは?

アメリカのビデオゲーム小売りチェーン「ゲームストップ」の株価暴騰を受け、同銘柄を空売り(手元に保有していない株式を、信用取引などを活用して「借りて売る」こと)していたヘッジファンドが大損害を被った事件です。

ゲームストップ事件により破綻もしくは大打撃を被ったヘッジファンドは複数あります。ヘッジファンドの運用状況が悪化すれば、当然そのヘッジファンドに投資している投資家の資産も大きく目減りします。

ゲームストップ事件に象徴されるように、ヘッジファンドに投資をするということは、一般に株式や投資信託などに投資するのに比べ、より大きなリスクも受け入れる必要があることを認識しておきましょう。

ヘッジファンドへ投資する2つのメリット

ヘッジファンドへ投資する2つのメリット

ヘッジファンドへ投資するメリットとして、主に以下の2点が挙げられます。

  1. 分散投資ができる
  2. 市場環境が悪くてもリターンを期待できる

1つずつ詳しく解説していきましょう。

1.分散投資ができる

分散投資とは、複数の資産・金融商品に投資をすることで、価格の下落リスクを抑えつつも、一定のリターンを狙う投資手法です。

例えば、A銘柄の株式だけに投資していると、そのA銘柄が暴落した際には大きな損失を被ります。一方、暴落したA銘柄以外にもB銘柄・C銘柄・D銘柄と複数の銘柄に分散して投資・保有しておくことで、A銘柄で暴落した分をカバーすることができる可能性があります。

ヘッジファンドの投資戦略は多彩です。例えば株式市場が下落しているときにパフォーマンスが良くなるヘッジファンドもあります。分散投資の観点から見れば、投資先の一つとしてヘッジファンドを選ぶメリットはあるでしょう。

2.市場環境が悪くてもリターンを期待できる

ヘッジファンドの多くは市場環境に左右されずに、絶対収益を追い求めています。そのため、たとえ市場環境が悪くてもリターンが期待できる可能性があります

以前、100年に一度とも言われた金融危機「リーマンショック」のときは、世界中の株価は大暴落し、市場環境は非常に悪い状況に陥りました。

そんな厳しい事態でも積極的な運用方針を取り、多彩な運用手法を駆使して、大きな収益を上げたヘッジファンドがいくつもありました。

たとえリーマンショックのような金融危機が起きても、ヘッジファンドであれば利益を上げられる可能性はあるのです。

ヘッジファンドへ投資する3つのデメリット

ヘッジファンドへ投資する3つのデメリット

一方で、ヘッジファンドに投資するデメリットは主に以下の3点があります。

  1. 換金性が低い
  2. 運用コストが高い
  3. 運用状況の透明性が低い

ヘッジファンドのデメリットについてもしっかり押さえておきましょう。

なお、人気のあるヘッジファンドは、すでに投資可能な運用枠がすでに埋まっており、日本の個人投資家がヘッジファンドに投資できる機会は今のところはほぼないといってよいでしょう。

1.換金性が低い

通常の投資信託などであれば、売却の指図を出してから売却代金が手元に届くまでの期間は、5営業日前後になるのが一般的です。

一方、ヘッジファンドの場合、解約できるのは四半期に一度といったように、特定の日のみと決められているケースが多く、好きなときに換金できるわけではありません。

中には、「四半期ごとに投資金額の25%ずつでしか解約できない」というルールを設けているヘッジファンドもあります。

以上のように、ヘッジファンドは換金性が低いのがデメリットです。ヘッジファンドに投資をすると、通常の投資信託のように、自由に換金できない点はしっかりと認識しておきましょう。

なお、ヘッジファンドは、一度に大量の解約申し込みを受けてしまうと、保有しているポジション(銘柄等)を手仕舞うことになりますが、通常ヘッジファンドはレバレッジを使っており、手仕舞いに解約金額の数倍の金額を動かすことになり、その結果、往々にしてリターンが悪化することになります。そのため、解約・換金に関して制約を設けざるを得ないという事情があるのです。

2.投資信託に比べて運用コストが高い

ヘッジファンドは通常の投資信託に比べて、運用コスト(運用手数料)が高いのが特徴です。ヘッジファンドの一般的な運用コストは、「成功報酬10~20%+運用報酬1~2%」程度となっています。成功報酬がある分、投資信託等に比べて、コストが高いことがわかるでしょう。

ヘッジファンドへ投資をするときは、他の金融商品へ投資する際よりも、大きな運用コストを支払うことも認識しておく必要があります。

3.運用状況の透明性が低い

ヘッジファンドは、一般的な投資信託に比べて、運用状況の透明性が低いです。

通常の投資信託では、運用方針やどのような銘柄に投資をしているのかなどの情報は、投資信託説明書(交付目論見書)などで開示しています。そして投資家はそれらの情報を参考にしながら、投資判断を下すことができます。

一方、ヘッジファンドの場合は、通常の投資信託のような情報開示はありません。仮に情報開示されたとしても、非常に簡単な報告にとどまります。「どのような金融商品や資産にどれくらいの割合で、どういう方針で投資しているのか」といった、運用状況の中身がほとんどわからないのが実情です。

ヘッジファンドが情報開示をしない裏事情

情報開示をするということは、自分の運用の手の内を明かすということになります。となると、それが他のヘッジファンドに真似されたり、利用されたりするおそれがあるため、ヘッジファンドは情報開示に積極的ではないのです。

ただし、AI(人工知能)を活用し金融商品等を売買しているなど、情報開示をしても運用に支障が出ないヘッジファンドについては、積極的に情報開示をしているケースもあります。

ヘッジファンドが与える株式市場への影響とは?

ヘッジファンドが与える株式市場への影響

団体や企業、超富裕層などしか手が出ないヘッジファンドではありますが、ヘッジファンドが与える株式市場への影響を押さえることで、自分の投資にも大きな影響をもたらすことがあります

一般的にヘッジファンドは相場の流れをより加速させる傾向があります

例えば株式市場が下落し始めたとき、トレンド・フォロータイプのヘッジファンドも売りを仕掛けるため、売りが売りを呼ぶ形となり、株価はどんどん下落することになります。逆に株式市場の上昇局面では、ヘッジファンドが買いを仕掛けるため、今度は買いが買いを呼ぶ形となり、株価の上昇が加速していきます。リーマンショック時の株価の急落は、ヘッジファンドの売りが売りを呼んだ典型例として説明されています。

とはいえ、ヘッジファンドの戦略は多彩ですので、ヘッジファンドによっては市場の下落局面に買い入れ、上昇局面では売りを入れるところもあり、結果的にあまり株価が動かないレンジ相場が継続するケースもあります。為替市場ではよくこのような事象が発生しています。

一般の投資家はヘッジファンドの動きを投資に生かそう

一般の投資家はヘッジファンドの動きを投資に生かそう

先にも述べましたが、ヘッジファンドには主に以下のメリットとデメリットがあります。

ヘッジファンドのメリット
  • 分散投資ができる
  • 市場環境が悪化していても、リターンを期待できる
  • ヘッジファンドのデメリット
  • 換金性が低い
  • 運用コストが高い
  • 運用状況の透明性が低い
  • 世界的に有名なヘッジファンドに投資できるのは、年金基金や生命保険会社・損害保険会社などの団体・企業か、資産額100億円以上を保有する超富裕層などに限られているので、一般の人が実際にそのようなヘッジファンドに投資するのはまず難しいといえます。

    ヘッジファンドの動向が株式市場に大きな影響を与えることがしばしばあります。ヘッジファンドに関する情報にアンテナを張り巡らせて、自分自身の投資に生かしてみてはいかがでしょうか。

    なお、日本国内においてもヘッジファンドは複数存在しており、国内ヘッジファンドへの投資は最低投資額が1,000万円程度となっているところもあり、海外の有名なヘッジファンドに比べ投資の敷居はかなり低くなっています。

    一方で国内ヘッジファンドにおいては、運用実績が乏しいところが多く、中には「詐欺なのでは」と思えるところも多数散見されます。ヘッジファンドに投資を検討する際は、過去の運用実績やコスト・評判などをしっかりとリサーチした上で、投資する場合も、全損しても大きな影響は出ない程度の投資金額に絞っていただく必要があると思っています。

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    講師は大手証券会社の支店長も務めたこの道32年のプロフェッショナルです。
    日本証券アナリスト協会認定のシニア・プライベートバンカー※ 資格も持つ、まさに金融エキスパートです。
    ※「シニア・プライベートバンカー」は富裕層の総合的な資産運用・管理に関する知識やサービスを体系化した PB教育プログラムの最上位の資格です。

    記事の編集責任者

    齋藤直人

    FINANCIAL JOURNAL編集長

    齋藤直人

    編集者歴20年以上。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。

    雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。

    FXトレーダー歴も5年以上あり、好きなトレードスタイルはスイングトレード。これまでの最大勝ち幅は1500pips

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